青

DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマンの青のレビュー・感想・評価

4.3
ミニチュアにしては、戦闘機が滑空する演出表現が凄くないか?
作品の完成度は、それぞれの指標(演技・脚本・美術…のような)への点数の合計値によって決まるのではなく、それぞれの指標への点数のバランスによって決まるのだなと感じた。この作品の演者の演技はいわゆるダイコンである。通常であれば、ダイコン演技は作品の完成度を下げる方向に作用すると思われるのだが、この作品に関しては、むしろ完成度に貢献している気がする(これは私の感想なので一般化するつもりはない)。おそらく、ミニチュアセットをいかに実物らしく見せるか、いかに本物の戦闘機のように動かすかへの工夫が、ダイコン演技を許容する方向に働かせるのだと思う。ミニチュアセットを実物らしく撮ろうとしても、どうしても本物の建物や戦闘機には敵わない。しかし、その創意工夫
と、工夫による映像の仕上がりの高さに、(全然ほんものらしく見えないのに)感心する。同じように、役者がやろうとしている演技も、ほんものの人間の感動や言動に比べたら足元に及ばない。しかし、やりたいことが分かるから、学生なのにすごいという意味で感心する。また、もし演者の演技が完璧であったなら、ミニチュアセットがチープに見えてしまい、要するに、演技のレベルに映像が合っていないと感じてしまい、作品の印象が損なわれる気がする。
これは、完成度がどうこうの話でなく、「粗削り」、「味がある」と表現する方向の話かもしれない。が、作品全体の粗削りさのバランスによって、完成度が高いと感じ(てしまっ)たので、「作品の完成度は、それぞれの指標(演技・脚本・美術…のような)への点数の合計値によって決まるのではなく、それぞれの指標への点数のバランスによって決まるのだなと感じた」という感想は保持しておく。
怪獣のデザインがかっこいいと感じていたら、デザインは庵野担当だった。光の演出に庵野の原点がみえる気がすると感じていたら、「光学」なる担当も庵野だった。
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