鍋レモン

数に溺れての鍋レモンのレビュー・感想・評価

数に溺れて(1988年製作の映画)
4.5
⚪概要とあらすじ
「ZOO」、「建築家の腹」に続いて撮った、グリーナウェイ監督作品。

“シシー・コルビッツ”という同姓同名の3人の女。祖母、娘、孫娘という関係であり、固い絆で結ばれた彼女たちにはそれぞれ夫がいるが、それ程“愛”を感じていなかった。というよりもむしろ夫(男)を既に必要としていない彼女たちは、ゲームの様に夫たちを溺死させてゆく...。

⚪キャッチコピーとセリフ
“水の中で、悦楽の死のゲーム”

「タイプに砂糖とレモネードをかけた」

⚪感想
ジャンル分けが難しい作品。
ファンタジーに感じてしまうような独特の雰囲気と世界観。

特徴的な出来事しか描かれないので難解だけど、ユーモア、シュール、美しさを加えてとにかく素晴らしい作品になっている。

お洒落で優美で幻想的で少しの孤独と憎しみ。

内容も登場人物もセットも衣装も映像もとにかく良い。そう、とにかく良い。
内容は作り込まれているし、登場人物はそれぞれの個性が表現されていて役者の方の演技も上手いし、セットは何度見ても飽きないほどたくさんの小物が使われていて美しいし、衣装も赤色が多く使われていてお洒落だし、映像も水を中心にキラキラ描かれているし。

虫や果物、羊、牛、ペンキ、花火、縄跳び、星、レモネード、砂糖、海、アイス、プール、綱引き、ヒモ...と目に入るもの何から何まで最高。

星を数え縄跳びをする少女や走りながらリボンを撒く男性、ただ走る男性たち、夫の浮気相手、双子的な男性と不思議な登場人物がたくさん。

裸でもモザイクがかからなくてびっくり。
世界観が守られていていいなと思った。

母、娘、孫とみんなシシー・コルビッツという名前かつ夫や恋人を溺死させてしまう。
これまた運命なのか。

スマットと検死官の男性の行く末が好き。

まちがいさがしというわけではないけど物語に埋め込まれた欠片を一つ一つ探していくよう。

DVDを手に入れて永遠観返したい作品。



⚪以下ネタバレ



物語の中で1から100と数が数えられていく。
タイトルの『数に溺れて』は本当に数に溺れてだった。

スマットというキャラクターが良かった。
自分たちで制作したゲーム。縄跳びをする女の子と会話。虫を数え。死を曜日で分けペンキを塗り花火で弔う。
恐らく縄跳びする女の子がなくなり、自分の言葉によって死んだと思ったスマットはその縄跳びで首を括って飛び降りることをゲームと称して死ぬ。そして牛飼の人がたくさんの花火で弔う。一方で船の上にいた3人のシシーたちはスマットは何を祝っているのか疑問に思う。
深すぎる。

検死官は性欲に負けあの3人にしてやられた分けだし、数に溺れたし。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

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