踊る猫

ダウン・バイ・ローの踊る猫のレビュー・感想・評価

ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)
3.8
相対的に点が低くなってしまうのだが、むろん駄作や愚作と切って捨てるつもりはない。ただ『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の路線を踏襲し、少しヴァージョンアップさせたかのような堅実さの「想定内」で収まっている物足りなさをも感じる。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』でも見られた三人組へのこだわり(うちひとりが外国から来た「外人」であるところも共通している)、そしてホイットマンやロバート・フロストへの言及といったインテリジェンスを感じさせる仕掛けは後の作品でもイヤミにならない程度に上品に花開くものであり、いわばここでもう萌芽を見ることができる(それにしても、ジム・ジャームッシュが描く女性はどこか「男のロマン」の中に収まった存在であり、フェミニストにはあまりウケがよくないもののように思うのだが、真正面からその話題について触れられた批評を読んでみたいとも思う。この映画でもジャームッシュは恐らく苦手であろう「女性をドラマに取り入れる」ことに挑んでいる)。
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