見た目こそカッコいいが中身はボロボロ。傲慢で自信に溢れているものの内心は創痍だらけだった戦後アメリカ人の真実を暴露するカサヴェテス中期の作品だ。
しかし、カサヴェテスは本作品のように群像劇のスタイルになるとなぜか私の口に合わなくなる。『フェイシズ』『アメリカの夜』などもそうだった。逆に『こわれゆく女』『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』など、主人公が1〜2人に限定されると食える。きっと激情的で荒唐無稽な人物ばかりゆえ、人が増えると心情解析不能に陥るのだろう。実際、本作品はみな何考えてるかさっぱりだった。