LalaーMukuーMerry

月に囚われた男のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

月に囚われた男(2009年製作の映画)
4.2
クローン羊のドリーが話題になって、もう20年も経つ。その後、iPS細胞の技術が生まれたからきっとクローン技術は相当進んでいるに違いない。ヒトのiPS細胞から生殖細胞を作ることはできるようになったらしい(2011)。だからクローン人間をつくる技術の基礎は間違いなく出来上がっている。あとは倫理的な問題、法的な問題が残っているだけだ。
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私の名はサム、月の裏側で働く宇宙飛行士。月のエネルギー資源ヘリウム3を採掘して地球に送る仕事を、コンピュータ(AI)のガーティと協力して、一人でやっている。エネルギー企業「ルナ産業」との3年契約の仕事はもうすぐ終わる。念願の地球に帰って、私が月に来てから生まれた娘や妻にやっと会える。地球からのビデオメッセージが待ち遠しい。
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だが、最後に採掘基地に行ったとき私は大きな事故に会ってしまった。
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気がついたら、中央基地のベッドの上で私は寝ていた。体調が戻って、採掘機が故障していることに気づいて修理を申し出たが、地球(本部)からの指令はNOだった。気になった私は本部に秘密で採掘基地に行った(ガーティは私に味方してくれた)。そこで私は傷ついて倒れていた人間を発見した。
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どういうことだ、助けた男は私とそっくりだった。月には私しかいない筈なのに。ガーティは彼とも普通に会話している。わけを聞いたがガーティは何も教えてくれない。
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私たちは話し合った。彼は私と同じ記憶を持っていた(妻のことも娘のことも)。どうやら私たちはクローンのようだ。何か秘密がある、クローンは私たちだけじゃない筈だ…
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これは引き込まれる、ミステリーSFだった。そのうち食糧肉はクローン牛やクローン豚から大量生産される時代が来るだろう。ひょっとしてこの作品のように危険、汚い、きつい仕事には基本的人権が巧妙に剥奪されたクローン人間を使う時代が来るのかもしれない…
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だけど、突っ込み所もあった。人間の記憶というものはクローン人間に移植可能なものなのだろうか? それはあり得ないぜ。 いやいや、そんな技術は決して不可能だ、という証明もできない…