ペコリンゴ

おわらない物語 アビバの場合のペコリンゴのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

記録。
変わらぬ姿で変わらぬ思いを吐露する少女。黒すぎるラストにゾクっとする…

トッド・ソロンズ監督作品の鑑賞は「ストーリーテリング」以来二作目。現時点では得意ではないタイプの監督さんだけど、成程、なんか段々クセになってきたよ。

登場人物の名がついた9つの章仕立て、主人公アビバの演者は年齢も容姿も、というか人種さえも異なる8人。なかなかにトリッキーな構成だ。

耐えず愛せるように沢山の子供を産みたいと言う無垢な少女アビバは数年後、ジュダという男子と関係を持ち妊娠。
産みたいと切望するも両親の説得により中絶。産まれることなく亡くなった娘にヘンリエッタと名付けた彼女は失意のうちに家出をし、亡き娘の名前を自称する…

堕胎による傷心の女性に、袋詰めの中絶児の遺体を目の当たりにさせたり、身体障害や病気などを抱える子供を養子に受け入れているクリスチャン夫妻が、堕胎医の暗殺を企てている等、ブラックユーモアどころか少々悪趣味が過ぎる嫌いがあるし、そもそもの物語として少し理解が難しい。

が、歳をとろうが経験を積もうが、人としての根本の部分は変わらないという主張は明確に言及されることもあって、すんなり伝わってくる。

ラストにおいて、ジュダと身体を重ねた後に、”今度こそ母親になれる予感がする”と語るアビバは、子供を沢山産みたいと言っていた幼少期の姿をしている。根本は変わらないのだ。

しかしながら、彼女は中絶手術の際、知らぬうちに子宮を摘出されているため、予感が的中することはあり得ない。
もうね、どこまで悪趣味なんだ…