砂場

パラダイス・アーミーの砂場のレビュー・感想・評価

パラダイス・アーミー(1981年製作の映画)
4.0
アイヴァン・ライトマン監督追悼シリーズ
まずはあらすじから

ーーーあらすじーーー
■タクシー運転手のジョン(ビル・マーレイ)、空港まで客を乗せるが口論となり途中で車をとめ帰ってしまう。家に戻るとローン未納でマイカーが持っていかれ、また失業したことに呆れ恋人は去ってしまう。
■友達の英語教師ラッセル(ハロルド・ライミス)と軍隊にはいれば食事があると考え、腕立て5回がやっとなのだけど軍隊に応募。過去の職歴、ゲイじゃないかなど聞かれとりあえず入隊。
■ハルカ軍曹(ウォーレン・オーツ)の訓練が始まる。反抗的な態度のジョンは軍曹に目をつけられていた。
■逃げ出そうとしたジョンを止めるラッセル、もみ合っているとジープに乗ったMPが来た。ステラ(PJソールズ)とルイーズ(ショーン・ヤング)という美女二人は見逃してくれた。
■ハルカ軍曹が訓練中の迫撃砲を受けて怪我をする。訓練が休みになったので街に繰り出す隊員たち。太ったオックスが女子の泥レスに参戦、ボコボコにされる。
■スティルマン大尉は覗きをしていると、バーニキー将軍が来ていた、EM50という新型車両に乗せる優秀な新兵を選べとのこと。
■バーニキー将軍の留守宅の見回りにステラとルイーズが訪問、ジョンとラッセルも同行し将軍宅でセックス。
■バーニキー将軍を迎えての行進、全然準備できていないジョンたち。徹夜で準備するが本番で寝坊、大遅刻。
途中から行進に加わり練習した成果を出すとぴっしり決まり、将軍が絶賛。EM50のメンバーに選ばれる。
■EM50のメンバーとしてイタリアに駐屯、EM50がベールを脱ぐとキャンピングカーだった。ステラとルイーズはドイツにいるのでEM50に乗って会いにいってしまう。
■行方不明のEM50に慌てたスティルマン大尉は招待を使って探しに行くが大雨で視界が悪くチェコ国境を超えてしまい、勾留される。
ハルカ軍曹は救出のためチェコに入る。ジョンはEM50への救援要請をうけてチェコに入る。
■国境守備隊を襲い、チェコ軍の制服を奪う。小隊とスティルマン大尉を発見、全員を救出する。マシンガン、戦車砲の攻撃を受けるが特殊装備の装甲板で防御。無事国境を抜けてドイツに入った。
ジョンたちは英雄として新聞に取り上げられた。
ーーーあらすじおわりーーー


🎥🎥🎥
かなり懐かしい、、ほとんど内容を覚えてなかった💧
戦争コメディというと『MASH』とか『キャッチ22』を思い出すけど
これらの作品は一応舞台は現実の戦争なのに対して、『パラダイス・アーミー』はドイツ国境からチェコに
間違って入ってドンパチするという架空の小競り合いを描く
それだけにアルトマンのような戦争への批判的視点とかブラックな笑いというのはなく、単に馬鹿馬鹿しく、女の子といいことしたり、秘密兵器が出てきたりなんとなく偏差値の低いロバート・アルトマンといった趣き

この映画どのくらいヒットしたのかな?日本ではテレビでも放映したし結構ヒットした記憶。今作はまあまあ面白いけども次の『ゴースト・バスターズ』がすごすぎてこの映画は忘れられている気がする。
最初の方の軍隊の採用面接でゲイではないか?と聞かれ、、ビル・マーレイ、ハロルド・ライミスは少し間を置いて
”どの程度のですか?”と聞き返したところは爆笑してしまった。

この映画の最大の見どころはストリップ劇場での泥んこプロレスだろう。踊り子vs太っちょオックスのバトルは最高にくだらなく美しい。あまりにもくだらないので笑いすら起きないし唖然とするばかりだ。しかしながらこの場面を見ていると日頃あれこれ悩んでいることが馬鹿馬鹿しくなり、人間の崇高さすら感じる。人生に悩んでいる人はこの場面を見るべきだ(ちなみに方正vsモリマンより数倍くだらない)
映画というのは時に見るものをこんな気分にさせることがある、同じプロレスものでいうと『カリフォルニア・ドールズ』のラストでドールズが鮮やかに回転エビ固めを決める場面、この場面の崇高さを思い出してほしい。

この作品が『ゴースト・バスターズ』に繋がる要素は多くて、主演のビル・マーレイ、ハロルド・ライミスのダメっぷり、ドタバタコメディ感、女の子との絡み、特殊仕様車のアクション、ラストの泡ぶくまみれも泥んこプロレスを想起させる。
エルマー・バーンスタインの音楽はいいけど『ゴースト・バスターズ』のレイ・パーカーJrのインパクトほどではないな

チェコについては監督が出身だからということだろうか?
アメリカ陸軍に入隊してイタリアに駐屯、ドイツに女の子に会いに行き間違ってチェコに入った仲間を助けるというのもよく考えると無理矢理な設定だ。無理矢理してまでもチェコを出したかったのだろう。いまいちその監督の内面はわからない。
チェコ映画というとそんなにみたことないけど、昔60年代チェコ・ヌーヴェルヴァーグを何作かみて想像よりもぶっ飛んでいてびっくりしたことがある。
チェコ出身のミロス・フォアマンのチェコ時代の『火事だよ!カワイ子ちゃん』のドタバタB級コメディぶりには驚く。
くだらなさで言えば『パラダイス・アーミー』よりも上を行くかも。
フォアマンはプラハの春の弾圧を逃れアメリカに移住するわけだけど、英語圏一作目『パパ/ずれてるゥ!』も相当ドタバタコメディで、
その後アメリカでの活動の方が表現の自由はありそうなもんだけどむしろヒューマンドラマの巨匠風になるのが面白い。
チェコには伝統的にドタバタギャグの伝統があるのだろうか
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