「別離」のアスガー・ファルハディ監督らしい、「誰も悪くはないのに、悲しいことはいつも起こる」系の身近な題材の作品。このシチュエーションはどこでもありそうだし、それを登場人物たちがなんとか乗り切ろうともがくさまは、イランだけのことではない普遍性があって考えさせられる。ちょっとミステリー風なのも惹き込まれるポイント。
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これくらいの嘘、誰だってつくよね。嘘をつきとおせるものではないと、みんなすぐに悟って本当のことを言うことにしたのだから、そんなに悪くはないよね。最後にフィアンセの彼についた嘘も相手を気づかってのこと、悪くはないと思う。
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良くなかったと唯一思えるのは、姿を消した彼女が自分の気持ちをフィアンセにはっきりと伝えてなかったこと。これがなければ、こんなことにはならなかったでしょう。たぶんイランの慣習では難しかったのかなとも思える。
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彼女が何故そうなったのか?真実の姿は描かれないから想像するしかないのだけれど、結婚前の男と女のことは法で裁けることではないから・・・、やっぱり誰も悪くはない。
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イランでは、日本の「みなしごハッチ」を誰でも知っているということがサラッと描かれてました。イランと日本のつながりは深いのですね。
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イラン映画、味がある。