ふしみあい

狼たちの午後のふしみあいのレビュー・感想・評価

狼たちの午後(1975年製作の映画)
5.0
何この映画!?面白い…!!!

アルパチーノが最高すぎる。役者の星の元に生まれてきたんだきっと!
開始20分ですでに銀行強盗が失敗し、警察に取り囲まれるところからこの映画は始まる。あと1時間半あるけどどうなるのー!と思うけれど、次から次へとテンポよく展開していくのでもう面白くてしょうがない。
それぞれのキャラが時間とともにわかってきて、主人公のソニーの感情の揺れ方とか周囲との関係性などが見て取れる。
時間経過の描写がすごく上手くて、流れる汗や脂汗、役者たちの髪の毛のほつれ具合、服のしわ、疲労度、そういうディティールで魅せてくる。最高のこだわり!!もちろん銀行の外の景色にも変化があって、夕暮れに近づいてくるにつれ、どんどん緊張感が増していく。

小さな銀行の閉塞感もすごい…
ロケ地の力ももちろんあるけれど切り取り方がほんとにセンスいいなと思う。
照明も格好いいし、暗いところと明るいところのバランスが写真みたい。

カット割りがとにかくかっこよくて、ラストシーンに痺れる。ERの素っ気なさもめちゃくちゃ格好良くて銀行強盗という悪であるはずの主人公の情けなさに切なくなり、夏の終わりかけのなんとも言えない名残惜しさのようなものを感じる。

雰囲気や撮影、音楽、編集、いろんな大好きが詰まった作品だった。
夏映画としてこれを薦めてくれた人に感謝です。