KouheiNakamura

スカーフェイスのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

スカーフェイス(1983年製作の映画)
5.0
俺の友達に挨拶しやがれ!!


アル・パチーノ主演、ブライアン・デ・パルマ監督によるバイオレンス映画。キューバ移民のトニー・モンタナが裏社会でのし上がっていく様を描く。1932年公開の映画「暗黒街の顔役」のリメイクでもある。

公開当時は批評家を中心に酷評されたが、次第にカルト的な人気を博していった異色作。特にヒップホップアーティストを中心に絶大な支持を得ており、楽曲の中にトニー・モンタナの名前が出て来ることもしばしば。
リメイク元の「暗黒街の顔役」が93分なのに対して、こちらは170分。そのこともわかるように、とにかく要素盛り盛りで熱さ増し増しな一本。

今見ると1983年という時代がこの映画に味方した部分もかなりあるような気がする。街並みや人々の顔から溢れ出るエネルギー、スクリーンに充満するギンギンなパワー。何よりもアル・パチーノのキレッキレな怪演がこのトニー・モンタナという悪漢の成り上がり物語を一際魅力的なものにしている。
アル・パチーノはやはり目が素晴らしい。基本的には傲岸不遜な目つきのトニーだが、時折空虚で寂しい目になる。アル・パチーノにこういった満たされなさ、空虚さを体現させればピカイチだ。ゴッドファーザーのマイケルしかり、セルピコしかり。映画序盤の野心に満ちた姿から、クライマックスの狂気に落ちた姿までを完璧に演じきるアル・パチーノからとにかく目が離せない。

プロットはシンプルだが、時折デ・パルマ監督の超絶技巧のカメラワークが冴え渡る。基本的に長回しでシーンの緊張感を持続させるやり方も巧み。音楽のチープさもギラギラした80年代にぴったりはまる。

名台詞、名シーンの数々を定期的に見返したくなる素晴らしい逸品。未見であれば、是非。
KouheiNakamura

KouheiNakamura