kazu1961

群衆のkazu1961のレビュー・感想・評価

群衆(1928年製作の映画)
4.0
▪️Title : 「群衆(1928)」
Original Title :「The Crowd」
▪️First Release Year:1928
▪️JP Release Date :劇場未公開
▪️Production Country: アメリカ
🏆Main Awards :※※※
▪️Appreciation Record :2020-505 再鑑賞
🕰Running Time:98分
▪️My Review
「ニューヨークで人より偉くなれるのは、出来る男だけだ」。。。はじめてニューヨークを目にした主人公ジョンソンは言います。この大都会で才能を発揮して、大衆とは別の世界に上りつめることをジョンは夢見ていました。
だか、主人公のジョンの思い通りにはことは進みません。ヴィターが描こうとしたのは、タイトルと同じく「群衆」の中から適当に選ばれた一人の男の凡庸さなんですね。ジョンはどこにでもいる赤ん坊として生まれ、どこにでもいるニューヨークの中産階級市民となってラストを迎えます。その間の人生もありきたりの経験をしていきます。こんな単調なストーリーを映画化するのはヴィターならではですね。
そして、本作を見事なまでに創意工夫に富んだ作品に仕上げました。ジョンの父親の早すぎる死を知るシーンでは、ドイツの表現主義を取り入れ、強制遠近法を用いています。また『群衆』というタイトルの本作は、ジョンとメアリーと息子というありきたりな家族が劇場の中でも、自分たちと同じような群衆の一つに過ぎないとカメラが引いて劇場客席全体を描く場面で終わるのが象徴的です。そして秒刻みの編集と完璧なカメラワークがエレノア・ボードマンと無名のジェームズ・マーレイの演技と一体化し、想像を絶する悲劇に襲われたふたりが恐怖の表情を浮かれるシーンは、サイレント映画史上でも指折りの名シーンといわれました。その他、ビルの外観から窓へと流れ、フロアへと吸い込まれていくカメラは、多数の机が整然 と並べられたオフィスを捉え、主人公が群衆のワンオブゼムに過ぎないことを印象づけます。。。
夢も忘れ、働きづくめの日々の平凡なサラリーマン、ジョンに訪れた転機。しかしそれは、妻子を犠牲にする苦い選択でもありました。家族への愛に目覚めた彼は。。。巨匠ヴィダーが、都市生活者の悲哀をリアルに描いた意欲作。そのためほとんどノー・スター、ロケ撮影の徹底などを用いました。誰もが手の届きそうなドラマを切り取っていくという手法を映画に取り入れたキング・ヴィダー監督に喝采の作品です。
ピエロの伏線とオチも良いですね!!

▪️Overview
「戦争と平和」「白昼の決闘」など数々の名作を生んだキング・ビダー監督が、サイレント期に手がけたヒューマンドラマ。希望を胸にニューヨークへとやって来た青年ジョニーは、保険会社に就職し、やがて結婚する。出世して群衆から抜け出すことを夢見る彼だったが、現実は上手くいかず、出世はどんどん遠のくばかり。また、人づきあいが苦手な彼は妻の家族とも良好な関係を築けずにいた。そんなある日、事件が起こり……。(引用:映画. com)

出演は、エレノア・ボードマン、ジェームズ・マーレイ。
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