のら

プレステージののらのレビュー・感想・評価

プレステージ(2006年製作の映画)
2.5
クリスチャン・ベールとヒュー・ジャックマンが演じる二人のマジシャンが、お互いの瞬間移動マジックのタネを暴き、それよりも更にすごい瞬間移動マジックを作り、相手を蹴落とそうとするのが話しの軸になっている。

しかしクライマックスつまり瞬間移動のタネ明かしの部分までが単調で、クライマックスに用意された壮大なマジックのフリを見せられているだけなので退屈に感じてしまう。

もちろんそこを補うだけのクライマックスが用意されており、フリが綺麗につながる所は流石はクリストファー・ノーランという感じではある。しかし劇中で「タネは知らない方が良い」という台詞がフリとして使われる割に、トリックに知らない方が良かったと思わせるだけのおぞましさが足りないように感じる。

というのも超科学的なものをトリックとして持ち出せば、どんなにすごいマジックでも、それはマジックではなく科学になってしまう。例えばヒュー・ジャックマンがテスラマシンの秘密に気付くシーンを、話の中盤では無く最後の最後に持ってくる等して、それでラストカットに水槽に浮かぶ無数のヒュー・ジャックマンという構成にした方が良かったのではないだろうか?

いずれにしろ、映画の性質上わかりやすいトリックのヒントを与えたのは疑問だ。とはいえシーンとシーンの関連性で話を見せていくやり方は作品のテーマと上手く合っており、ラストのタネ明かしによって劇中の様々なシーンが繋がりをもつ構成は素晴らしい。見直すたびに発見のある映画に仕上がっている。その反面初見に限って言えばラストのインパクトの弱さが映画全体の印象を押し下げる結果になっている。
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