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ブレックファスト・クラブのtjZeroのレビュー・感想・評価

ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)
4.7
土曜日の早朝、”問題のある”5人の生徒たちが、高校の図書室に呼び出される…。

まずこの、タイトルが秀逸。
”春の補習授業”を”ブレックファスト・クラブ”と言い換えるセンスがすてき。
味気ない補講が、ワクワクしたイヴェントに思えてくる。

ただ内容は、楽しいだけじゃなくて、ほろ苦さもたっぷり。
集められた5人に与えられた課題は、”自分とは何か?”というテーマの作文。
彼らは書く事を放棄しちゃうんだけど、語り合っていく内にそれぞれの”自分らしさ”がクッキリと映画の中で浮かび上がってくる。

スポーツ少年、お嬢様、不良、ガリ勉、ネガティヴ・ゴス少女…普段は異なったカーストに属してまったく交流の無かった彼らが、本音でそれぞれを探り合っていく。
ガリ勉君に扮するアンソニー・マイケル・ホールの「ぼくら、月曜の朝にどんな顔して会うんだろう?」というセリフが印象的。
この5人による集まりはこの日限りかもしれないし、大人になったら忘れてしまうような1日かもしれないけど、心の奥底には残り続けるに違いない…本作を観た、アナタやワタシや君やボクの中にもずっと。

ほぼ会話だけの内容なのに、5人のセリフ、表情、リアクションなどから、それぞれの普段の暮らしや、希望や悩み、秘めた思いまでまざまざと感じとらせるあざやかさ。
こうした、本来演劇向けの作品の映画化は、最も監督の演出力が試される企画だと思う。
本作のジョン・ヒューズは、『十二人の怒れる男』のシドニー・ルメットや『おとなのけんか』のロマン・ポランスキーなどにも引けをとらない、たしかな職人芸を披露してくれている。
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