LATESHOW

いぬのLATESHOWのレビュー・感想・評価

いぬ(1963年製作の映画)
3.5
二転三転するクライムストーリーの説明を極限まで削るという、実に尖がった作品。
減量中のボクサーのように
乾ききった唇を閉ざし
考えの読めない鋭い視線でこちらを睨むから
疑心暗鬼が膨れ上がる。
とにかくセリフに集中していないと映画のスジがわからなくなる!笑
かといってシーンを見落とすと辻褄があわなくなるから
観る側も始終緊張感に。
片手間に飲み食いして観られる映画ではないなあ。

光と影が交錯する高架下を歩くトレンチコートのやつれた男。
叙述のフィルムノワールが無骨に始まる。
まだ幼さすら残る若きジャン・ポール・ベルモントの
何を考えてるのかわからないニヒルで非情な笑み。
男は黙して語らずを追求すると
ここまで硬派な内容となるのか。
監督自身もお気に入りの
取調室での尋問のシーン。
ぐるうりと回る長回し。
ベルモントでピタリ止まった時の視線がたまらない。
何故、土砂降りの雨の中を
傘もささずに
トレンチコートで歩くのか。
ベルモント黙して語らず。
「今夜は行けそうにない」
女への最期の電話の切り方よ。
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