牛猫

PASSIONの牛猫のレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
4.2
30歳を目前に控えた男女6人が織りなす、複雑な人間関係を描いた話。

同監督の「THE DEPTHS」はあまりハマらなかったけど、この作品は問答無用で物凄く引きつけられた。

結婚発表からの不倫発覚という冒頭の流れも衝撃的だったけど、中盤の教室のシーンや問題の暴露ゲームなど、全編にわたって不穏な緊張感が漂っていて、その場にいたら絶対いたたまれないけど、観てる分にはかなり興味深かった。
爽やかさも甘酸っぱさもなく、切なさや痛々しさや悲壮感ばかり溢れているのに、不思議な心地よさがある。大人の青春物語といった感じ。

そして特筆すべきはセリフの量。覚えるだけでも大変だろうに、見事に演じきった役者さん達に拍手。名脇役の地位を確立しつつある渋川清彦も素晴らしかった。説明的で不自然な部分も多々見受けられるけど、それを忘れるくらい、いつのまにか画面に釘付けになってしまった。

学生の時とはガラッと変わった価値観だったり、将来への展望だったり不安だったり、諦めだったり面倒なこともたくさんあるけど、本音でぶつかり合う彼らの姿はとても力強くて、少し羨ましいとも思った。

煙突から煙が上がる朝焼けの工場地帯を散歩する2人のシーンも印象的。
面白かった。
牛猫

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