牛猫

オクジャ okjaの牛猫のネタバレレビュー・内容・結末

オクジャ okja(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

韓国の田舎町で、巨大生物オクジャと暮らしてきた少女がある企業の計画のために連れ去られたオクジャを取り戻すために奮闘する話。

ポンジュノ監督作品ということと、R15のレーティングが不釣り合いなほど、序盤の雰囲気はとてもほのぼの。まさに「となりのトトロ」を彷彿とさせるような少女とオクジャの掛け合いにほっこりできる。とにかくオクジャの造形と動きが絶妙。万人受けするような可愛さではないけど、あの大きな図体と利口な仕草に心を掴まれる。この主役の女の子とオクジャの演技は最後まで圧巻だった。

オクジャが連れ去られてからのカーチェイスとか、癖の強い愛護団体の登場とか、超合理主義の食品会社とか、それぞれのシーンも印象深くて、いつもとは一味違ったキャスティングも楽しめる。ティルダスウィントンは同監督の「スノーピアサー」でもインパクト抜群だったけど、本作でも流石の存在感。ただそれ以上にジェイクギレンホールが強烈だった。カメレオン俳優の名は伊達じゃない。気持ち悪い学者役が最高だった。

舞台がアメリカに移ってからは一転してどんどんシリアスになっていく。オクジャの存在がファンタジーだから忘れそうになるけど、家畜を劣悪な環境で育てて人間の食のために殺しているのは現実に行なわれていることだし、なんともいえない気持ちになった。ここまでまざまざと見せられるとベジダリアンになってしまう人もいるんじゃなかろうか。肉を食べることをやめはしないけど、観終わってから数日間はなんとなく食べにくくなる。そんな映画だった。
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