神は見返りを求めるの牛猫のネタバレレビュー・内容・結末

見返りを求めない優しい男性とどん底YouTuberの盛者必衰と二人の関係性を描いた話。

試写会にて。

YouTuberの裏側みたいなものはよく分からないけど、吉田恵輔監督がYouTubeをあまりよく思ってないのは十分伝わってきた。
自分の承認欲求を満たしつつ、一攫千金も夢じゃない。そんな理想的な仕事があるなら自分もやってみようと思う若者が出てくるのも不思議じゃない。小学生の将来なりたい職業ランキングでも上位にランクインしているとのこと。
この映画をその子たちに見せたら考え直すかもしれない。それくらい強烈だった。
分かりやすいほどに天狗になっていく岸井ゆきのも、それを見過ごせず憎しみを募らせていくムロツヨシも痛々しいくらいにリアル。滑稽なんだけどモヤモヤする。ずっと苦い顔で観てしまった。
事態を拗らせるスネ夫をタチ悪くしたような同僚役の若葉竜也も、軽薄なYouTuber連中なんかも観ている間は嫌悪感が凄いんだけど、クラスに1人はああいうタイプっているし、バズってる輩ってのは結局こういうやつなんだよねっていう説得力もある。ここらへんの人物描写がかなり絶妙。

ラストも案の定バッドエンド寄りのモヤモヤする終わり方。でも勧善懲悪的なスカッとした終わり方にするのも違うと思うし、あれはあれで良かったのかも。ムロツヨシの虚な表情が切なかった。

胸糞悪いし何回も見返したくなる作品ではないけど、面白い映画だった。