踊る猫

スタンド・バイ・ミーの踊る猫のレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.3
この映画は単純で力強いプロットを備えている。真夏の死体探し。つまり、ささやかな冒険の旅。その旅は(それなりに)波乱に満ちていて、その波乱故に面白い。そこは流石スティーブン・キングの原作の巧さだと思うし、それを損なわなかったスタッフもニクいと思う。しかし、この物語が時を超えて愛され続けるのは、彼ら4人組がこの死体探しの旅をすることで「一皮剥けた」大人になったからだろう。主人公ゴードンは単なる作家志望でありながらなかなか殻を破れなかった気弱な子どもだったのに、この旅の中でパイの早食い競争の話をすることで自信をつける(この体験がなければ彼もまた、町の中に埋もれていたかもしれない)。クリスもまたゴードンに励まされることで就職ではなく進学することを目指すことになる。彼らの仲は長く続かないが、この旅で得られたものがそれぞれの心の中にある限り思い出は生き続ける。語り口として成人したゴードンが回想する体裁を採ったこの物語は、過去の名曲にも彩られて長く「古き良き物語」として生き続けることになるだろう。
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