滝和也

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐の滝和也のレビュー・感想・評価

4.2
そして全てが帰結する
深すぎる愛は狂気を
呼び、執着の心は
破滅への道を開く。
萌芽した闇の芽は
今、選ばれし者に
堕天使の羽根を
開かせる。それは
正に血塗れの
大輪の華の如く…。

アナキンの章…最終作。正に悲劇。語られた全てが今この時の為に。それはルシフェルがサタンの誘惑から、神を裏切る神話の如く。SAGAに相応しい傑作ですね。

映画史上最高の一騎打ち。剣劇の極致。美しき映像が悲しみ、怒りを表すムスタファの決闘。本当に素晴らしい。赤と黒の星がダークサイドを象徴し、僅かに残った青き光の剣が闇を切り裂き交差する。アナキンの章、全てがこのシーンに結実してます(^^)

この作品、アナキンの章の全てに言えるのですが、ルーカスの構成力の巧さ、生みの親故の巧さが際立ちますよね。ベイダー誕生迄を無理なく、且つ劇的にルークの章に繋ぐため、丁寧に語る構成力。タトウィーンの二重太陽までたどり着いたその瞬間、やり切ったと思いますよ、これは。

オープニングからその技術の粋を集めたクライマックスの如き艦隊戦、議長救出劇。あれ程エピソード2で前振ったドゥークー伯爵戦と一気に見せてくる凄まじい引き、大盤振る舞いですよ。

政治、陰謀、駆け引きを見せながら、アナキンの精神の揺れを丁寧に見せる中盤。愛深きゆえに、愛を欲し、揺れ動くアナキン…。自尊心、承認欲求、悲しみを秘めた故の悲劇。前2作で語られた彼を構成する要素を活かし追い詰めていく、それは人誰もが持つ心に合わせ…。

またオビ=ワンのグリーヴァス将軍との戦いも素晴らしい出来。この部分のデジタル撮影、CGは凄いですよね(^^)腕4本のアイデアも楽しいし(^^)勿論この部分がオビ=ワンの勇姿を見せ、アナキンの盾となり強さをアピールしてこなかった事へのバランス取りをしています。ラストに向けてですよね。

ラストはオビ=ワン対アナキン、シディアス対ヨーダをカットバックで繋ぐ最高の迫力と緊迫感を高める演出。上説した2人の戦いには及びませんが、ヨーダの動きも見事でした。デジタルの良さはやはり動きでしょう。マペットも嫌いではなく、それぞれ良さがありますね。

さてフォースにバランスをもたらす者の予言は正しかったのか。エピソード8の考え方で良い気もしました。そもそもフォースとは何か、善でも悪でもない力だとしたら…光ある所影ありの☯陰陽論であるならば…ベイダーになることがこの時代、宇宙にとっては一瞬なのかもしれませんが、正しいのかなと。1000年前に滅びた闇は反動で広がる、それこそフォースの意思なのかもしれない…。予言は正しいことになります…。それも神様ルーカスのご意思です。

神様が見放し、神に憧れし人が、創りし物語はどこに行くのか…。それは神話の時代から人の創りし物語となりました。その行く先をまだまだファンとしては見ていきたいですね。
滝和也

滝和也