ゼロ

パンズ・ラビリンスのゼロのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
2.5
だから少女は幻想の国で永遠の幸せを探した。

内戦後のスペインに生きる薄幸の少女・オフェリアを描くダーク・ファンタジー。ファンタジー世界の住人である牧羊神・パンや妖精等を含め、生々しく描写をしており、気味が悪いです。また本作は世界各国で数々の映画賞を受け、第79回アカデミー賞では撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞し、外国語映画賞では次点となっている。そのため、作品の世界観作りは丁寧にしてありました。

お話としては、スペイン内戦下に父を亡くし、母・カルメンの再婚相手の独裁主義の大尉・ビダル大尉と暮らす女の子・オフェリアの物語。全編に渡り、戦争の生々しさを描写しており、人が簡単に死ぬ、人を簡単に拷問する、人との争いが描かれています。

辛い現実に耐え切れないオフェリアは、おとぎ話が好きで、ある時に妖精に出会います。その妖精もファンシーな雰囲気ではなく、大きなナナフシという造形をしており、ゾッとしました。彼女は、それでも牧羊神・パンに出会い、地底の王国へ行くための、3つの試練に挑戦します。

コンセプトとしては、大人のおとぎ話なのでしょう。大人でも耐えれない現実だから、子供であるオフェリアは、別の世界があるとでも思わないとやってはいけない。しかし、作中で母・カルメンから言及されていますが、「もう大きいんだから、人生はおとぎ話じゃないってことが分かるはずよ。」。その言葉を受けたオフェリアは、ある選択をすることになります。

最後のオチをみた時に、現実を突き付けられただけで終わってしまい何とも言えない気持ちになりました。オフェリアが最初からファンタジーの世界に行こうとしていたので、何かあるのかな…?と思っていただけに、拍子抜けしてしまいました。

救いようのないエンディングだけど、観る人によってはハッピーエンドにも見える。そういう戦争という現実と地底の王国へ行くというファンタジーを対比させた作品でした。
ゼロ

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