すずき

パンズ・ラビリンスのすずきのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.5
ーーー昔々、地底世界に美しい王国がありました。
そこの王女様は、ある日城を抜け出し、地上の人間の世界に出ましたが、太陽の光に目が眩み、全ての記憶を失い、死んでしまいました。
しかし娘を失った王様は今でも、娘の魂が地上で生まれ変わり、王国に帰ってくるのを待っているのですーーー
1944年、内戦中のスペイン。
読書好きな少女オフェーリアは、身重の母の再婚相手ヴィダル大尉のいる、森の中の基地に移り住む。
そこでの暮らしはオフェーリアにとって苦しいものだったが、ある日、彼女は妖精に出会い、導かれる…

内戦中という重苦しい現実世界と、ちょっぴり怖いが美しい幻想世界を描いた、デル・トロ監督真骨頂のダークファンタジー。
個人的にはデルトロ最高傑作だと思うし、「シェイプ・オブ・ウォーター」よりこっちの方が好きなんだけども、意外にfilmarksでのスコアも低いな…

暴力描写はそこそこで、かなり痛そう!なシーンもあるので注意。
「シェイプ・オブ〜」と違ってエロシーンは無いので家族でも安心。

ファンタジー描写、モンスター造形は流石。
牧羊神パンのデザインも好きだけど、一番良かったのは第二の試練に登場する「手の目」。
鳴き声が赤ちゃんの声っぽいてのも和製妖怪みたい。デルトロ監督妖怪は好きなのかしらん。
それと、その二体のモンスターの「中の人」、ダグ・ジョーンズ!
彼がいないとデル・トロモンスターに命は宿らないといっていいほど、雰囲気にハマってるよねー。

映像も綺麗だけど、ストーリーも綺麗で、哀しくもハッピーなラストが素敵。
ラストシーン、というかこの映画全体の「ファンタジー世界」の解釈の仕方で、評価は変わりそう。
そこら辺の人を選ぶ「カルト性」がfilmarks平均スコアを下げてるのかな…
夢を見る事を忘れていない、いや、現実よりも夢に比重を置きたい大人にオススメだ。