あなぐらむ

48時間のあなぐらむのレビュー・感想・評価

48時間(1982年製作の映画)
4.5
だいぶ前のテレビ東京「木曜洋画劇場」で。
「デジタルリマスター版」だったようだが、吹き替えはTV初出(日本テレビ版)の時の下條アトム版だったのがうれしかった。
エディ・マーフィ=アトムのイメージがあるんで。「星の王子ニューヨークへ行く」とか。

今じゃ24時間で核テロも抑止しちゃうし世界改変を止められそうな世の中になっちゃったたが、この映画で48時間かけて追い詰めるのはチンケな悪党連中っていうのが凄くいい。描くものが違うんだよね。
ウォルター・ヒルが描くのは「男とはどうあるべきか」とか「男同士の友情ってのは」とかそういうアナクロなもの。でも、それがすごく気持ちいい。
脚本はロジャー・スポティスウッド先生(トゥモロー・ネバー・ダイ)。

アクションも全然スタイリッシュじゃないゴツゴツしたどんくさいものだが、かえって真実味がある。重量があってね。
よく言われることだが、CGで何でもできるようになっちゃったが故にアクション映画はつまらなくなったと思う。
だって皆さ、「これってCGじゃん?すげー」って言いながら見てるわけで、言ってみればタネがバレてる手品を平然と見てるようなもん。
007のスタントチームやトム・クルーズがすごいのは、「本当にやってるから」。
メタバースだアバターだとか言われて久しいが、やっぱり本当かどうか、本物かどうかっていうのは基準として厳然とあると思う。
因みに映画においてCGの画面占有率が40%だかを超えると、人の目には嘘もんに見えるらしい。それは動物の本能みたいなもんよ。

あと尺について。ウォルター・ヒルは「映画は90分がベスト」というような発言もしていて、これはまさにその通りだと思う。
冗長なのはよくない。ノーランの唯一の罪は、ファイナルカット権を監督側に戻した事。これによって編集マンが仕事が出来なくなった。
人間の集中力が続くのは90分が限界、という話もあるし、短いに越した事はないの。
「48時間」はそんな娯楽映画の基本、プログラム・ピクチュアの楽しみを思い出させてくれる映画でした。
ちなみにニック・ノルティは僕の中で「グーで殴られたら世界一痛そうな男」ということになっています。
あとエディの「クソして寝ろ!」は大好きです。