えびちゃん

blueのえびちゃんのレビュー・感想・評価

blue(2001年製作の映画)
3.7
ノスタルジーに襲われて呼吸がうまく出来ない。新潟の夏、舞台は日本海のすぐそばに構える女子高。我が母校。原作は魚喃キリコ。
卒業して10年以上経つのに、じめっとした鬱陶しい空気、夕方になると漂ってくる雑草の青い香り、学校のすぐ裏の海の匂い(爽やかな潮風なんて幻想。プランクトン多め)、さまざまな制汗剤の匂いが充満する女だけの女くさい教室、あの頃当たり前で何気なく過ごしていたものが今ありありと鼻腔の奥に感じられて…、なんですか、この超体験は…。
1歳年上の同級生。知らない音楽を知っていて、知らない画家も知っている。知らないタバコの味も知っていて、知らない恋愛の痛手も知っている。ちょっとだけ大人の同級生に対する憧憬とほんのりとした恋愛感情。その人の全ての1番になりたい。でもなれない。何者でもない自分にも腹がたつ。ぶつかり合って、すれ違って、それでもまた交わっていく関係。わたしははっきりとヘテロだけど、同性に対して抱く友情以上恋愛感情未満の理由のつけようがないこの感情を理解したい。
自販機がDyDoだとあからさまにがっかりするのに、こんなにもDyDoこそが良いと思える作品他にある?お前は何を言っているんだという感じですが…。朝日が昇る前の海と空のグラデーションが溶け合う中に包まれて缶ジュースをまわし飲みする制服姿の2人が本当に綺麗だった。
えびちゃん

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