えびちゃん

燃ゆる女の肖像のえびちゃんのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.0
正直最初はあんまりハマらないかなぁと思ってしまった。絵画的な切り抜き方も美しいけどくど過ぎで食傷気味だったので新幹線の車内だったり、寝っころんでiPadで観たり、なんか食べながら観たりとシネフィルに殺されそうな態度の悪さで飛び飛びに観てしまったのだが、、、最後のシーンでおいおいとしゃくりあげるほど泣いてしまった。極限までダラダラ観て泣く資格もないのだが…。
「見る」側が「見られる」側だったのだと気づいた時の心が揺れ動くさま。
キャロルでも感じたように表立って気持ちを交わし合うことのできない同性間では視線の交差は愛を確かめ合う行為なのだな。
なにより「燃ゆる女」はエロイーズだけではない、マリアンヌもなのだ。
マリアンヌは振り返ってしまった。そしてエロイーズは振り返らない(気づいていたけど、絶対に見ない)は、冥界からエウリディケを連れ戻そうとしたオルフェウスの悲恋の神話を断ち切ろう抗おうというエロイーズの精一杯の抵抗なのだな。世間がふたりを遠ざけても、心だけはふたりのものなのだ。
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