えびちゃん

お葬式のえびちゃんのレビュー・感想・評価

お葬式(1984年製作の映画)
4.5
伊丹十三式お葬式上手にできるかな?
じいちゃんの葬式を思い出しながらひーひー笑いながら楽しみました。火葬をエンタメ化することってあるんだ。山崎努「火加減とかあるんですか?」お葬式というにはあまりにも祭りだった。
なんと言っても、山崎努の脂の落ち始めた枯れ方がソーセクシー!和製マストロヤンニっぽさを感じる。女の尻は映すが山崎努の尻は見せてくれないのかとしゅんとしていたけどパンツ姿を無事確認。
劇中のCM撮影の音楽が大貫妙子のRECIPE〈調理法〉で嬉しい。
劇中の白黒ホームムービーの多幸感。裏で働く人々をリアルに切り取って映していてすごく良かった。にぎにぎわいわいみんなでお葬式の準備に勤しむ様子は、故人がよくモテて人から好かれていたことの証左だ。故人の、人と関わってきたことへの答え合わせのようなものだ。6年前にじいちゃんが死んだ時、徳の高い上司が、「お葬式は自分のルーツに触れる機会でもあるよ」と声を掛けてくれた。何じゃそりゃ…と思っていたけど、実際全然知らん陽気な親類(らしき)人たちと役割分担しながらお通夜から葬儀、火葬、精進落としまでこなしていくのは謎の連帯感があり、そうか、これがわたしのルーツなのか…と妙に感動したことを思い出した。お葬式って悲しいだけじゃないから好きなんだよな。
怒涛のお葬式フローをこなした最後のシメ、精進落としの喪主挨拶で訪れる唯一の悲しさと恋しさ。自分が実際身近な人を喪ったらここまで気丈にいられるか自信が無い。こんなにも人の心を揺さぶる衒いない言葉を吐露できるだろうか。
最後、無言でお花や布団などを2階からぼんぼん投げて燃やすところがやたらリアル。このシーン、すっごくカサヴェテス作品ぽさを感じた!
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