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ビルマの竪琴のtjZeroのレビュー・感想・評価

ビルマの竪琴(1985年製作の映画)
3.6
太平洋戦争末期のビルマ。捕虜となった小隊の水島上等兵は、降伏を知らない日本軍を説得する命を受け、独り奥地へ向かうのだったが…。

主人公が竪琴を得意とする青年で、小隊の兵たちは彼の伴奏に合わせ、士気を高めたり、すさんだ心を癒すためにいろいろな歌を歌う。

平和の象徴としての音楽と戦争との対比、というのは、『二十四の瞳』や『サウンド・オブ・ミュージック』なんかでも見られたが、本作でも非常に効果的で、むごたらしい死体の群れと美しい旋律とのコントラストに、厳粛な思いで胸がいっぱいになる。

特に印象が強いのが、序盤の小村の場面。
英軍に囲まれた小隊が、敵を欺くために宴会を続けているふりをして”埴生の宿”を歌う。
英軍が近づいてきて、いざ発砲か、と思われた瞬間…イギリス兵の口から原曲である”楽しき我が家”が流れる。
一時戦場を忘れたように、英語と日本語で同じメロディを唱和する両軍。
市川崑監督の「銃弾の撃ち合いよりも、旋律の応酬を」という強い反戦のメッセージが聴こえてくるかのようだった。


《追記》平和への祈り、って戦災時だけじゃないですよね。
天災で被災された皆さまに、心からお見舞い申し上げます。
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