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アバターのTEPPEIのレビュー・感想・評価

アバター(2009年製作の映画)
4.3
劇場で見た回数は4回。
初めて見たのは前夜祭の3Dで、
12月22日のことだった。ずっーと製作発表してはまた変更と、いつか必ずやジェームズ・キャメロンの映画史を塗り替える作品が生まれると信じてずっーと待っていた本作。一応言っておくと、2009年まで3D作品は飛び出すものとして「スパイキッズ」や「センター・オブ・ジ・アース」と公開されてきたが、本作は奥行きを重視したほぼフルCGの背景と当時は冷蔵庫並のデカさと言われた3Dカメラを独自に軽量化した(天才かキャメロン)カメラで、さらに最先端のパフォーマンス・キャプチャーを使用した「アバター」。公開当時はまさに事件だった。全米では爆発的オープニングではなくとも大雪の中、息の長い興行が続き、今も塗り替えられぬ全世界興行収入ワンツーをキャメロンが記録。世界的評論家、ロジャー・エーバートやスティーブン・スピルバーグは「新世代のスター・ウォーズ」とまで絶賛した。ここ日本では何かと単純明快なストーリーや、丁寧な筋書きが批判されているが何とも悲しい。いやそれぐらい昔より映画にストーリーを求めてきているのかもしれないが、キャメロンが誰も見たことない映像世界を展開したのは事実であり圧倒された。インフレも考慮し、宣伝費も含めた製作費が4億ドル以上となっている(正確な数値は何故か不明)と言われる本作は善悪の区別がハッキリとは分からない。惑星パンドラにおける人間はナヴィからはエイリアンとして扱われ、いかにもアメリカの先住民を意識したナヴィ族のナヴィ語も学者を集め1年かけて完成させたという。何よりキャメロンは青の世界を重視し、いかにして故郷の意義を失いかける人間の愚かさをうまく娯楽作で表現するか考えている。単純に美しい風景や新鮮味の溢れる生き物、根本的な生物の食物連鎖は全く胡散臭くないのが不思議だ。まるでそこにいるかのような映像世界。
構想10年以上の本作は確かに脚本は本当手付かずで古いストーリーを土台にしてはいるものの、魅力溢れるキャスト陣の熱演やキャメロンらしい素晴らしい構造やデザインが目に焼きつく。しかしいまだにサム・ワーシントンを抜擢した理由は分からない。有名は俳優でなければアバターになった時も、顔がイマイチ分かりづらいだろうと配給会社も難色を示したほとだ。だがオマティカ族の姿や生活を丁寧に描くことで、ジェイクの目線から学べる異種との交流こそ最も美しい瞬間なのかもしれない。
最後はお得意のドンパチなのだが、今は亡きジェームズ・ホーナーの音楽は心地よく、大迫力の映像と共に楽しませてくれる。ちなみに僕は完全版、地球のシーンも表れるエクステンデッド版もBDで持っているのだがどちらも3時間くらいの超大作版アバターであり、色んな解釈もできる。
オリジナル版はその中でもかなりシャープで大人向けとなっている。
さて最後に作る作ると言って中々進まない続編は何とアナウンス通り4作連続で製作するそうでキャメロンは長年脚本完成と発表しているが、彼が一作にかける時間は相当である。それこそ「ターミネーター2」のようにギリギリまでスピード撮影してあんな傑作作ってしまうキャメロンは偉人の他ないだろう。「アバター」が常に映画の最先端であると言いたい。
総評として「アバター」はジェームズ・キャメロン監督のスター・ウォーズであり、今も魅了させてくれる。何だかんだ少し経てば、もう本作が出来て10年となってしまう。メイキング映像とかも食い入るように見てたので多分、相当なファンである。そもそもキャメロンが大好きなもので…。
「タイタニック」が大衆作にも関わらずオスカーをかっさらったのも事実。キャメロンがいつも映画史を変えるきっかけの人物であると本当に考えてしまう。衝撃的な作品という意味では、「アバター」は間違いなく上位に食い込む超大作である。
ありがとう、ジェームズ・キャメロン。
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