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裏切りの街角のHKのレビュー・感想・評価

裏切りの街角(1949年製作の映画)
3.8
『幻の女』『殺人者』などのロバート・シオドマク監督によるフィルムノワール。キャストはイヴォンヌ・デ・カーロ、バート・ランカスター、ダン・デュリエなどなど

ナイトクラブで離婚した妻がギャングの男と付き合っている光景を見かけて彼女のことを完全に忘れようとする男がいた。しかし、彼女は彼に詰め寄りギャングの男との関係は友達程度と言う。男は彼女との生活資金のために現金輸送車を強盗しようとするのだが…

40年代フィルムノワール作品の一つ。イヴォンヌ演じるファムファタルに終始翻弄されて運命を共にしてしまう哀れな男の顛末を描いている。

現金輸送車の強盗シークエンスにおいて、バークレーショットのような上からのクレーンショットでパンをしながら輸送車を追いかけるシークエンスはかっこよかった。

他にも現金輸送車の動きをパンで追いかけるシーンが中盤辺りでもあったと思いますけどそこもやはり淡々と映していながらもかっこよく感じてしまう。

バーでのダンスのシークエンスも魅せる。車での二人の駆け引きもとても良かったですね。昔からあるメロドラマ的な三角関係がこのような形で大惨事に陥るという展開は個人的には好きなのでとても良かったですね。

一番印象に残っているのは現金輸送強盗後の病院でのシークエンス、いつ敵が襲ってくるのか分からずに、見張りのような存在にも疑いをかけていく息もつかない展開がとても良かったですね。病院の鏡で斜めに映る被写体がより私たちを不安感に陥れる。

廊下にいる男が敵か味方かを敢えて顔を見せないようにすることによってその挙動の一つ一つから疑わせる。観客もバート・ランカスターと表裏一体の関係になって引き込まれてしまう。こういうのはやはりサスペンスの構造を上手く利用しないと出来ない演出なので本当にすごいと思いました。

最後の、良い意味で潔いともいえる結末も見事。納得のいく形のバッドエンドというのもこれはこれで面白いと思いましたね。後のヌーヴェルヴァーグが影響を受けたであろう破滅的な終わり方というのも納得ですね。

いずれにしても見れて良かったと思います。この頃のフィルムノワール作品をもっと見てみたい。
HK

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