噛む力がまるでない

コピーキャットの噛む力がまるでないのネタバレレビュー・内容・結末

コピーキャット(1995年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 1995年のサスペンススリラーである。

 とりあえず、まず吹き替えがとても良い。ハドソン(シガニー・ウィーバー)を田島令子、モナハン(ホリー・ハンター)を土井美加があてており、きっちり息のあった掛け合いが聞けるし、事件が進むにつれて深刻になっていく2人の女性の精神的危機を丁寧に表現している。脇を固める俳優陣も良く、とくにルーベン(ダーモット・マローニー)を担当する辻谷耕史は明るくてユーモアあふれる若手刑事をうまく演じていて、作品全体にふざけた軽い感じを与えている。わたしは辻谷耕史の演技が好きなので惜しい俳優を亡くしたな……とつくづく思う。
 ちょっと気になるのは、現在流通しているソフト版のほかにテレビ東京版の吹き替えが存在し、そっちのほうのキャストもたいへん豪華だということだ。関俊彦のルーベンも聞いてみたいし、ピーター(ウィリアム・マクナマラ)を池田秀一がやるだなんて、一体どんなサイコキラーになってるんだろうか……。

 お話自体はイヤな感じに満ちていて、サイコキラーの犯人を追う内容だが、男性の性質というか、有害性を扱っていると言えるのかもしれない。ハドソンとモナハンが苦労の末にようやくピーターを倒しても、根本的にはいろんなことが解決されておらず、このラストも非常に示唆的だ。この後もハドソンが再び怯えて暮らすのかと思うと、暗い気持ちにさせられる。