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JAWS/ジョーズのkoyaのレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
4.5
やはり、名作と言われる映画にはちゃんと理由がある。
この映画が公開された1975年というと、私は12歳。
大ヒットしてブームになったのを覚えていますが、私は高校生くらいまでは、パニック映画とか戦争映画、ホラー映画は怖くて観られなかったんですよね。

もう、思い出すのは怖い映画ばかりで、『エクソシスト』『タワーリング・インフェルノ』『日本沈没』『地獄の黙示録』『ディア・ハンター』それとスタンリー・キューブリック監督ものとかね、すべて20代以上になってから観たのです。

こうして改めて観ると、無駄が一切ないのと、見せ方ですね、それからあの「ズ・ズン・・・ズ・ズン」という音楽の効果的な使い方、本当に秀逸でやはりスピルバーグ監督は天才だと思う。

まだスティーブン・スピルバーグも若くて、「ハリウッドの若造」とか言われてた頃ですが、800万ドルの予算で、2億6千万ドルというアメリカだけでこの興行成績を上げてる。

すごいな、と思ったのは、最初に人食いザメの犠牲者が出るのが、オープニングタイトル含めて、始まって2分だった事で、その2分間で、あの音楽が鳴ってサメの目線になるとどうなるか・・・って観客にわからせてしまう。

ただのパニック映画にせず、後半は、オルカ号という船に警察署長のロイ・シュナイダーと、腕自慢の元軍人の漁師、ロバート・ショー、サメの研究者のリチャード・ドレイファスの男3人、人間ドラマにしつつ、パニック映画でもある、という巧さです。

見せ方は、まだ特撮も黎明期かもしれないけれど、その分、「あの音楽」が始まると、わわわ、となり、サメに黄色い樽付きの銛を打って、その樽の動きでサメを追う・・・つまりサメは出なくても黄色い樽が、ざぁーーーと動くだけで、見せちゃうというアイディア。いきなり黄色い樽が3つ、浮かんだところなんかもう、ひーって声出してしまいました。

あまり残酷描写は見せず、アイディアで乗り切るというのがいいと思うし、映画に全く無駄がない。3人の男のキャラクターもくっきり浮かび上がって、時にいがみ合いながらもサメと戦うという『白鯨』の世界です。

今だったら、特撮にお金かける事できると思うけれど、そうすると迫力のサメ最初から出してしまうような気がする。音楽も添え物的になると思うし。
『エクソシスト』も、後に観てまぁ、キリスト教徒ではない私はあまり怖いとは思わなかったけど、あの「ひゃらりらひゃらりら~」というチューブラベルズの音楽は怖かったねぇ。

なんだかんだ言われても、若い時これだけの実績を残したスピルバーグ監督は天才だと思うのです。
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