シネマスナイパーF

チェイサーのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
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ネオンの十字架
その不穏さよ


中盤に登場するある部屋の圧倒的ビジュアルの格好良さ
キリスト教徒、特にプロテスタントが韓国には多く、様々な映画作品でも度々モチーフとして登場しますが、ミステリーを解いていくキーとして、そして、シリアルキラーの動機づけとして、非常に効果的な使い方をしていると思います
ミジンの旦那がいるらしい場所がリオデジャネイロだというあたり、何か確信犯的なものを感じざるを得ない

女性をモノのように扱っていた男が追い続ける男は、世俗的なものを穢れとして粛清するその思考一辺倒なのか、死んで償えと言わんばかりなのか
そして、そいつに振り回される警察がとことん無能として描かれているあたり、人間の稚拙さが苦しいほど浮かび上がる
しかし、闇を追いかけ闇に向かっていた主人公の辿り着く先は、この見苦しい現実を見せつけられる作品の中では、光だと思えてしまう
追いかけても追いかけても辿り着けなかった場所に、ついに踏み込むその時、男達の運命は終わる


あるひとりの男を追いかけるという「アクション」をシンプルな物語として一直線に設定しながらも、その周りにしっかりと肉をつけ、不条理な現実とその渦中にある禍々しいものを、決して嫌悪感だけを押し出さずに描いてみせています
タイトルが出る直前の台詞を忘れないでほしい…終わってみれば、オープニングから緻密でした

「チェイサー」、単に「追う者」
この物語にこんなシンプルなタイトルなのか
いや、シンプルなストーリーラインにはシンプルな言葉がピッタリか
シビれる、超カッコイイ


警察は流石にバカすぎじゃねえかとか、どいつもこいつもハナから言われること信じすぎとか、ツッコミどころは、ありますが
ヤバイ、これは、ヤバイ