踊る猫

イントゥ・ザ・ワイルドの踊る猫のレビュー・感想・評価

イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)
3.6
こちらの期待値が高過ぎたのだろうか? どうも「これって、どういう映画なんだろう……」と思ってしまう。ショーン・ペンは伝えたいことをこの映画に盛り込み過ぎたのではないか。もっとシンプルに裕福な家庭と保証されたエリートコースを歩む道を選ばず、己の信念を貫かんとした青年の旅行の過程を追いかけることに徹したら良かったはずだ。それは決してこの映画が仄めかしているような崩壊家庭で育ったこととは関係がなく、ただ主人公がどうしてもスクエアな道を歩めない体質であること、だからこそ「ワイルド」に生きんとしてしまう性の人間であることともリンクしてくる。その、どうにもならない体質こそが答えだろう。そこにラブ&ピースのヒッピー文化や裏社会を持ち込むから、エピソードが盛り沢山で構成が散漫に感じられて、全体の印象が濁ってしまうのではないかと思ったのだ。少なくともこの映画を一般的なロード・ムービーと同じほど私は愛さないだろう。確かにアメリカでしか作り得ない「ワイルド」な映画だと思うし、主演のエミール・ハーシュの演技は有無を言わせないものがあると思うのだが……欲張り過ぎでは?
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