円柱野郎

ゴジラ×メガギラス G消滅作戦の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

人類の兵器実験が引き金で復活した古代昆虫メガヌロンとゴジラの戦いを描いた、ミレニアムシリーズの第2作。

基本的に毎回設定がリセットされるミレニアムシリーズ。
…ということで今作は1954年に東京を襲ったゴジラが再び60年代に原発を襲撃した結果、日本は原子力発電技術を放棄したという設定のパラレルワールドが舞台。
福島第一原発事故の10年以上前に脱原発をテーマで話を始めるというのはなかなか興味深いものの、実際には話の上で新エネルギー研究が“ゴジラを誘引する”という役割以上のものはなく、別にそれでなくても良いんじゃない?とすら思ってしまった。
そう考えると首都機能が大阪に移転したことだって話に生かせてない。
まあこれは当時実際に「首都機能移転」が論じられていた時代の空気を反映してのものかもしれないけど、正直言って無駄な設定な感じ。

本作では人類側がゴジラ消滅のための新兵器をこしらえるわけだけど、これがまたマイクロブラックホールを撃ち出すというトンデモ兵器で、21世紀になろうかという年にこのセンスは…ちょっとハッタリが効きすぎてやしませんか(苦笑)
まあそういう意味ではそこはかとなく子供向けだった昭和ゴジラを思い出さなくもないが、冒頭で古代昆虫の卵を拾うことになる少年が東京にそれを運んだ後はエピローグまでほとんど描かれなくなったりして、子供向けの割に子供の扱いがぞんざいだなあとも思ったりした次第。

ゴジラと対決する怪獣は古代昆虫メガヌロンが巨大化したメガギラス。
デカいトンボですね。
(顎の構造はもはや昆虫のそれじゃないけど。)
メガヌロン自体は「空の大怪獣ラドン」にも出てきたけど、直接は関係ないかなあ。
最初はヤゴの形態なので、そこから羽化してメガニューラになると群体で空を飛びまわるのだけど、この辺は「ガメラ2」のレギオンを連想した。
そしてメガヌロンの1匹が大きく成長して出現するメガギラスは、空中を高速移動して今までにない攻撃でゴジラに攻撃を仕掛けるなど、それなりに見せ場があって悪くはないかな。
羽を高速で動かすことで発する高周波攻撃も街を破壊するのになかなかの威力だけど、まさかそれで“宇宙”にある衛星兵器までダウンさせるとは…想像できんかったが。

まあ全体的には作品として空想科学活劇らしい楽しさを志向しているのは分かる。
でもハッタリならハッタリらしい科学考証もちゃんとやってほしい気もするわけで、そういう意味ではSF設定の中途半端さが気になる作品でした。
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