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野良犬の一のレビュー・感想・評価

野良犬(1949年製作の映画)
3.7
黒澤明監督作品

日本映画に刑事もののジャンルを確立させた先駆け的作品

荒々しい息を吐く犬のアップで始まる冒頭からただならぬ雰囲気を醸し出す

終戦からわずか4年で撮られた戦後の日本を舞台にしており、闇市や風俗といったリアルな戦後の情景が観られるので、記録映像的な意味でも楽しめる

刑事が銃を無くすという笑っちゃうような設定でも全く軽いトーンにはならず、しっかりと骨太サスペンスに仕上げてしまう監督の力量

ギラギラした眼差しの三船敏郎もハンサムすぎるし、キーとなる人たちが皆魅力的

ダイナミックなカメラワーク、観ているだけで暑苦しくなるほどのうだるようなジメジメとした描写や、セリフもないまま捜査のために歩き回るシーンに恐らく10分ほど費やしているのが非常に印象的

あえて場面とは正反対の音楽を使う手法は本作から始まったのでしょうか
ちなみに野球場のシーンは、実際に試合が行われている中撮影されたらしい…

刑事との師弟関係もよくある熱血系ではなく、静かに繋がっている感じが良いし、なによりそれを三船敏郎と志村喬という黄金コンビが演じていてめちゃくちゃハマってる

ストーリーに特別な新しさはないし、それほど娯楽性が高い作品でもありませんが、撮り方一つでこれほど上質な作品になるのだと痛感させられる見事な刑事ものの原点

時代的に仕方ないとはいえ、セリフがあまりにも聞き取りづらいのが少し残念ですが…

〈 Rotten Tomatoes 🍅95% 🍿91% 〉
〈 IMDb 7.9 / Metascore - / Letterboxd 3.9 〉

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