アニマル泉

これがロシヤだ/カメラを持った男のアニマル泉のレビュー・感想・評価

5.0
映画の世界を切り拓いたジガ・ヴェルトフのマスターピース。革新的な作品はやはり力強く瑞々しい。撮る驚きと喜びにあふれている。トップカットのカメラの上に合成された立つ男、カメラレンズと目の合成が象徴的だ。映像のあらゆる可能性に貪欲に挑戦している。線路に穴を掘ってローアングルからの列車通過ショット、多重露光、分割画面、など満載だ。一番美しいのは馬車を車で並走する移動撮影だ。馬車が疾走する躍動感が素晴らしい。移動撮影の原点の美しさだ。カメラを持った男が街中で撮ったドキュメンタリーとドラマ仕立ての人物のプライベートな日常が並行モンタージュされていく。出産の衝撃的なショットがある。タバコをつめる人力の作業と機械による自動化作業の対比も面白い。
ヴェルトフは「円」が頻出する。カメラレンズ、編集機のリール、車輪、ミシンの回転軸、さらに「旋回」にも注目だ。
ジガ・ヴェルトフの名前はゴダールが地下活動をしていた時代にジガ・ヴェルトフ集団と名乗ったことで神話的になる。
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