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さよなら子供たちのkazu1961のレビュー・感想・評価

さよなら子供たち(1987年製作の映画)
4.0
▪️Title
「さよなら子供たち」
原題「Au Revoir Les Enfants」
▪️Release Date
1988/12/17
▪️Production Country
フランス・西ドイツ合作
🏆Main Awards
1988 第13回セザール賞
1987 第44回 ヴェネツィア国際映画祭 金獅子
賞など。
▪️Appreciation Record
2019-081 再鑑賞
▪️My Review
淡々と進んでいく中に強烈なメッセージが込められている、とても深い作品です。
ヌーベルヴァーグの巨匠ルイ・マルの半自伝映画と言われる作品です。日本ではミニシアター中心の小規模な公開でした。しかも今やレンタルも終了してるんですね。30年前の映画とは言え、これはきっと誰もが感動する名作なのに語り繋がれてないことは残念です。
淡々と進むストーリー展開ながら、ラストの展開で思い知らされます。未来を知っている我々から見れば、1944年1月と言えば、パリ解放(1944年8月)まであとわずか、という時期。もう少しでユダヤ人も逃げ隠れせずにすむ時代がやってくる―――しかし、その「あとわずか」というところで、ゲシュタポが学校に。しかも、校内の誰もが知る或る人物の密告によって・・・ジャンらユダヤ人の生徒と彼らを匿っていた神父は、生徒達の眼の前で連行され、そのまま帰らぬ人となります。
これは、戦場も収容所も映さない、それでいて非常に残酷な反戦映画といっても過言ではないですよね。
シークエンスは学校の一冬というひとつにまとめられ、各シーンはそれとなく示唆していくというタイプの構築性の緩やかなものです。これはガスパール・マネス演じる主人公の体験という視点ではなく、40年後の主人公による回想とあの時代の解釈という視点を採用しているからで、この手法が鑑賞後に大きな余韻を残すんですよね。
しそて、出演者の見事な演技。ガスパール・マネスは利発だが年齢並みに幼い少年を演じて好い。ラファエル・フェジトは人に言えない問題を抱えている少年を好演。フランシーヌ・ラセットとフィリップ=モリエ・ジェヌーの大人勢も浮かずにきちんと溶け込んでいます。
また、この時代背景を上手く演出するために学校で映画の上映会。『チャップリンの移民』が流されるのも興味深いですね。
深イイ作品です。是非!!
▪️Overview
ナチス占領下のフランスのカトリック寄宿舎で生活する少年たちの心の交流を、製作・監督・脚本を担当した「アラモ・ベイ」のルイ・マルの強い自伝的要素のもとで描いてゆく。撮影は「デジャヴュ」のレナート・ベルタが担当。音楽はシューベルトとカミーユ・サン・サーンスのクラシックを使用。出演はガスパール・マネッス、ラファエル・フェジト、フランシーヌ・ラセットほか。
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