Melko

おばあちゃんの家のMelkoのレビュー・感想・評価

おばあちゃんの家(2002年製作の映画)
3.9
母親に連れられ、都会から、電気もつかないど田舎にやってきた少年サンウ
預けられた先のおばあちゃんは、口が聞けず読み書きもできない
そのことをからかい傍若無人に振る舞うサンウ

このサンウ、とにかくこざかしくてムカつく
自分の思い通りにならないと、壺は割るは靴は放り投げるは家の中に落書きするは、とんでもない悪ガキ
言いたいことは山ほどあるけどとりあえず。
人ん家のタンスを勝手に開けんなボケコラァァァァ!!!

だけど、おばあちゃんが通せない針の穴に糸を通したり、雨で濡れた洗濯物をおばあちゃんの分も取り込んで干し直したり、人間として冷酷無比なわけではないサンウ

冒頭、おばあちゃんが、自分の後を孫がちゃんとついてきてるか、何度も振り返って確認するところで早くも涙が…🥲
まだ若そうな母親に、7,8歳ぐらいのサンウにすると、あのばあちゃんはちょっと歳とりすぎでは?と思ったけど、、母親は兄弟の末っ子とかなのかな🤔

サンウに対して「もうちょっとおばあちゃん大事にしてあげなよ」って思うところはあるけど、子どもってこんなもんなのかもだし、私も自分のばあちゃんに対してこんな態度だったかも…「お手伝いして」と言われたら、「ええ〜」と言ってたかも…と、頭が痛い。

帰る前の晩に、糸を通した針を針山にたくさん刺してあげるところ、サンウ、成長したなぁと

胸をさすれば、「ごめんね」の合図
「ありがとう」と「ごめんね」を言えるようになったら、戻ってこようね

サンウの憎たらしさ、ばあちゃんの素朴さ
見守る優しい音楽
深煎りしすぎない田舎の快活な人々
山の自然
何でもないゆったりとした日々の中のドラマが良いし、サンウが大切にしていたアニメの絵葉書が、ラストに効いてるのも粋

———-//以下、自分語り//————————-
私事ですが、昨日の朝、母方の祖母が亡くなりまして。祖母のパートナーも、父方の祖父母も亡くなっているので、おばあちゃん、おじいちゃんと呼べる人が誰もいなくなってしまったのが寂しい。
以前、「愛を乞う人」のレビューにも書いたけど、母方の祖母は自由奔放な人で、自分の夢を叶えるために、当時まだ幼かった自分の娘(私の母)を、遠方の自分の実家に何年も預け、夢を叶えて美容師で稼ぐようになったら、そのお金を事業に使ってはダメにする旦那に愛想を尽かし、当時高校生だった私の母と、小学生だった下の娘2人を旦那の元に置いて逃げ、違う家庭を持った。
そんな事情を母から聞いたのは、私が高校生ぐらいの時だった。
だから、私の小さい時の祖母の記憶は、遊びに行ったら必ず髪を切ってくれて、タバコを吸い、たまにパチンコをして、しょっぱい味噌汁を作ってくれ、ガハガハ笑い、パートナーと息子に気を遣ってばかりの人
だった。なんかとても人間味のある人だった。
ばあちゃんに髪切られすぎて怒り狂う
エピソードが出てきて、フフってなった。
全く同じエピソードが身に覚えある…
サンウぐらいの歳の頃、セミロングだった髪を、ちょうど彼と同じぐらいの長さに切られ大泣きした私…その反動で、以来20年近く、髪は長いまま。私のある事情を思ってやってくれたのに。あの時、「大嫌い!」と言ってから、「大好き」と言わず今になっちゃったなあ…
もうあの味噌汁飲めないのか。

明日が火葬。
小さい頃、「かわいいね」って何度も言ってくれた事を忘れない。
綺麗な格好で見送りたいと思います。

しばらく思い出に浸りたいので、「おばあちゃんと孫」系の映画でオススメご存知の方、是非教えてください。
よろしくお願いします。
今ならドラえもんの「おばあちゃんの思い出」見て号泣する自信ある…
Melko

Melko