Maririn

ナイト・オン・ザ・プラネットのMaririnのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

とても良かった。
映画館で観てよかったと思う映画。

それぞれの話しの好きなところ。

1話目:LA
LAのドライバーの女の子、最高に可愛かったし、いかしてた。
あの真っ直ぐさ。清々しさ。
映画のスターには興味がなくて、自動車整備士になりたい女の子。女の子だったら誰だって憧れるのは分かるしあんたも本気で話を持ちかけてくれてるけど、私も私の人生を本気で考えてるのっていうのが最高にカッコよかった。いいコンビ。2人でタバコ吸ったり、Yes, mom.っていうのよかったな。
ステレオタイプを破壊するみたいな強いメッセージ性がないのもまたよくて。あくまで日常なのが良かった。1番好きなお話だし、憧れちゃう。

2話目:NY
これまた良いコンビ。ドライバーとお客さんが逆転しちゃうという愉快な設定。This is NYな感じも良かったし、帽子に関して、俺のはHYPEなんだよ!お前の古臭いのと一緒にすんな!とか言いながらも大笑いして、ハッピーなストリートハートウォームな感じも好き。

3話目:PARIS
大使館うんぬんの2人組を下ろして、ついてないってところから始まって、盲人の人乗せて良い風吹いたところで、事故るオチまで流れが完璧だった。
事故ったのに、盲目の女の人に共感して、ふふふと笑えてしまうのがいい。
ドライバーの人の問いに対する盲目の女の人の返答がすごく好き。
色って目で認識するものだと思い込んでいたから、色を感じるって感じ方が新鮮だった。
映画も観るって言ってたのも、はっとした。映画ってスクリーンを観る意外にも、確かに音の立体感とか、空気感とか、振動とか、光とか、すごく拘ってるから、感じることができる。それってすごく素敵なことだなと思ったし、いつか目が見えなくなっても他の感覚を使って映画を楽し観たいと思った。
個人的に映像はこの話が1番好き。

4話目:Roma
ずーっとし喋ってるいるドライバー。多言語なのもあって真面目に聞いていると疲れるし、内容も懺悔というから真剣に聞いていれば懺悔という名の下世話な話で、そもそも真面目に聞く話ではない。その後部座席で動かなくなってしまった牧師。最後に聞いた話がガボチャや羊だなんてなんという幕の降ろし方。かなしいかな。ドライバーも本気で自分が殺してしまったと思っているマヌケっぷりには笑えちゃうのだけれど、牧師も引き摺り出される時に、自ら頭を浮かせていたり、ちょっと瞬きしていたり。音と一緒に目が開いたり。ツッコミどころ多めなコミカル具合で、くすくす笑えてしまった。多分1番くすくすした。

5話目:Helsinki
ヘルシンキが舞台の映画は初めて観たと思う。雪国の、明け方。白む寒空が徐々に明けていく感じと、人生のどん底を味わっている2人の男を重ねて見たりして。悲しい話が、言い合う2人せいでコミカルになっていく。お前ら泣きすぎなんだよ。感情移入しすぎなんだよ。親友のこと大事にしろよ。と思いながら、彼ら2人の同情っぷりに救われて、それを観て笑っている私。
ドライバーが人生のどん底や、愛を伝える伝えないの、深そうな話をしているのに、全然シリアスにならない所が、日常の一コマとして観れる。さすがジム・ジャームッシュの見せ方だなと思った。

映像もとっても美しいんだけど、肌で感じる映画としてもとてもおすすめできる。
1人と1人がたまたま出会う。それがタクシーの世界なのかもしれないし、タクシードライバーの日常なのかもしれない。
その日常は決まってちょっとツイてなくて、でも人と出会うことで、それを少し忘れられるような。また日常に、1人に、戻ればまたちょっとツイてないんだけど、同じ景色を、またさっきとは違う自分で見てるんだよねって思わせてくれるようなそんな映画でした。
Maririn

Maririn