Maririn

天使のくれた時間のMaririnのネタバレレビュー・内容・結末

天使のくれた時間(2000年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

◎感想
階段でのチョコケーキのシーンが最高。13年間愛し合ってきたときの2人が垣間見える瞬間。これもまた一瞬の煌めき(blink)なのが愛おしい。
そして、ケイトが可愛すぎる。愛する人って、ただ可愛い、綺麗っていうだけではなくて、こういう「愛おしさ」を纏ってその人の瞳に映るよね、っていうのが伝わってくるカットがあって、とても良かった。
資本主義社会で、足るを知ることで幸せを感じるのは難しいと思う。「もう十分恵まれているわ」というKateの台詞や、生き方には、こう生きられたらいいのに、と思わされた。


◎気付きメモ
1.タイトルについて
日本語訳のタイトルにおいて、なぜ『天使がくれた時間』ではなく『天使のくれた時間』なのか。

「天使が」にすると、Jackが家族と過ごした時間に天使は内在されない。時間をくれた「天使」と、Jackが過ごした「時間」は別のものという印象になる。
この場合、家族との時間をくれたのは、Jackが助けた黒人男性であることから、「天使=黒人男性」という意味になってしまうが、英語のタイトルが"The Family Man"であることから、Jackにとっての天使は家族であることが分かる。
「天使の」の場合、天使もその時間を共有しているという印象に変わる。「が」のときとは違い、天使はその時間の中に存在している。つまり、「天使=家族」であり、「天使のくれた時間」=「家族(愛する人)との時間」であるということになる。
「天使が」か「天使の」でこれだけのニュアンスが違うことに気づき、翻訳っておもしろいと思った。

2.黒人男性の役割
2000年のNYが最初の舞台である。
Jackの会社の会議室の殆どが白人男性。会議室の外に白人女性。ドアマン、フロントマンが黒人男性。コンビニの店員がアジア系男性。アジア系男性にすら見下され、相手にされない黒人男性。
登場人種で見ると、Jackは1番酷い扱われ方をされる黒人男性を助け、哀れんだ(?)と言える。(save me)
Jackは善意のつもりでした発言も、黒人からすれば嫌味である。そう考えると、黒人がJackに与えたblinkは、吉夢か、悪夢か分からなくなる。彼は一体何者なのか。罰のつもりか、プレゼントのつもりか。悪魔の悪戯なのか、天使の悪戯なのか。結末から辿れば天使かもしれないが、「あんたが招いたことだ(=自業自得)」という捨て台詞からも読み取れるように、悪魔的な側面も感じられる。彼は天使を送り込む、人の姿を借りた神様なのかもしれない。

3.everybody needs somethingとblink
Jackにとっての"something"は「天使のくれた時間」によって「成功すること」から「愛すること」へ変化する。
当初Jackにとっての"something"は仕事で成功すること(success)であった。(something=success)
家族との田舎暮らしはJackにとっては"success"ではなく、普通の人生である。
Kateに、家族との時間がある人生だって"great success story"である、と言われ、Jackが空港で手放した方の人生も、見方を変えれば"success"であるということが分かる。
家族との時間を過ごすにつれ、Jackにとっての"something"は、家族との時間、家族を愛することに変わる。(something=loving)
lovingこそ人生の煌めきであり(blink)、人生における確かなもの(sure about)である。
everybody needs somethingは、人生における成功とは何かという問いであり、本ストーリでは、それは愛することであると結論付けられている。blinkは、そのことに気づくための一瞬の煌めきだったのだと思う。

◎掘り下げたいことメモ
1.資本主義社会と家族
2.cityとcountryの比較
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