Maririn

君の名前で僕を呼んでのMaririnのネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

◎感想
カットも、映像も、ピントの合い方も、ファッションも、街並みも、登場人物のキャラクターも全部愛おしい、美しい。
前半における「夏の間この街の人々は何をして過ごすの?」というオリバーの問い。
この問いに対するエリオの「夏の終わりを待つだけ」という返答が、ストーリーの布石になっている。
エリオにとって夏の終わりは、次第にオリバーとの別れを意味するようになる。
退屈な夏を過ごすはずが、エリオとの出会いによって、色付く。

◎気付きメモ
1. 水というメタファー
夏の間、川がよく出てくる。彫刻は海で発見される。ミラノでは滝の情景。
冬になると、雪の情景が映し出される。
"変化しながら同じであること"
川、海、滝、雪。
水が雪に変わっても、物質は同じ。
季節が夏から冬になって、来年の春になっても、エリオとオリバーの感情は変わらない。
水という形を変え流れるものに、2人の心があらわれている。

2. 桃(果物)という性的モチーフ
種をとる→同性間の性的交わり
桃=おしりのモチーフ(≠女性器)
「果物に手を出したか」→禁断の果実的ニュアンス
cf)異性間の恋愛であればりんご(アダムとイブ)
よって、エリオの同性愛の目覚めを示唆する。

3. タイトルの意味と役割
"Call me by your name, I'll call you by my mine"
オリバーからエリオへのI love you的な役割の言葉。
同一であること、同じであること。
大切なもの(名前)の交換。
父親との会話における"Oliver is Oliver"との対比。
エリオとオリバーは同じ気持ちかもしれないけれど、エリオはエリオであり、オリバーはオリバーである。

4. ラストシーンについて
「深い悲しみ(sorrow)も、痛み(pain)も、自分のもの。喜び(joyful)も同じように。」という父親の言葉。
オリバーの結婚の知らせによって、さらに深い悲しみと痛みにうちひしがれるエリオ。
でもそれと同じくらい、喜びにあふれ、幸せだったひと夏の愛。大切な気付きを与えてくれた、大切な人との出会い。
ラストのエリオの表情は、父親の言葉通り、悲しみと痛みと、喜び全てを噛み締めている。
すべて自分のものだと耐える姿が、切なく、そして美しい。(Eliot is not Oliver, Eliot is Eliot)

◎掘り下げたいことメモ
1. ユダヤのネックレスの背景知識
2. 女性に送った詩集について
3. 赤い映像の効果
4. なぜお父さんはfriendshipという言葉を使ったのか
5. 部屋の役割
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