滝和也

緋牡丹博徒 一宿一飯の滝和也のレビュー・感想・評価

緋牡丹博徒 一宿一飯(1968年製作の映画)
3.9
東映無垢付けき男衆
の中に咲く一輪の華

性は矢野、名は竜子
緋牡丹のお竜と申します

「緋牡丹博徒 一宿一飯」

藤純子主演、緋牡丹博徒シリーズの第二弾。前作で仇を倒したお竜は、上州富岡、戸賀崎一家に草鞋を脱ぐ。だが高利貸しと組んでシマを狙う笠松組の罠により一家は壊滅。一宿一飯の義理と残された娘と恋人、そして幼子のため、お竜の戸田流小太刀の白刃が舞う!

今作も渡世に生きるものの意地、義理人情の世界の見事な様式美が光る傑作。女立てらに渡世の義理を貫くお竜の所作、啖呵が素晴らしい前半。関八州の親分集の前で口上をたてるシーンは白眉。真っ赤な絨毯と壁紙をバックに白い着物に真紅の牡丹をあしらったお竜さんの美しさ、色気に目を奪わ、気風の良い啖呵に耳を奪われ、心を持ってかれます♡

前作の健さんに変わり、お竜さんを救う助っ人には、鶴田浩二兄貴。流石元特攻隊の生き残り、その眼力と美しい所作は登場シーンから半端なく、遊郭七人斬りの異名を持つ流れ者、風間秀太郎を公演しています。やはり東映任侠モノの秘蔵っ子である藤純子様に惚れられる役だけに次々と大物が来ますね(^^)

また女性主人公である故のシークエンスが盛り込まれてます。女博徒としてのライバルに弁天のお連こと白木万理さん。そう、婿殿!でお馴染み、必殺シリーズの中村主水の嫁さん役のあの方が、色気ある役で登場し、女の意地と生きる道を見せてきます。情けない旦那役に水戸黄門の西村晃さんも出てまして、この夫婦の姿も中々良いんです。そして戸賀崎の娘、マチさんとの絡みも女性ならでは。身体を墨で汚しても、心は汚すことはできんと言う名台詞で励ますシーンがまた胸を打ちます…。

当然、励まさなければならない様なシーンがあるわけで…敵も前回に増して外道なんです。そのド外道の中に…菅原文太さんがいます!長ドスの使い手で代がし、用心棒格で外道親分の横に。いつ裏切るかと思ったら最後まで外道でびっくりしました。まだこの時は扱いがそんな感じなんだと…。

基本線は我慢劇で前作とほぼ同じと言うか、ややストーリーとしてお竜さんの仇がいない点で落ちるかなと。ただその分、半端なく相手も外道でお竜さんの見せ場も多いんですけどね(^^) 

このシリーズ、昭和残侠伝に匹敵する名シリーズですわ。次々と超強力な助っ人が来て、20代前半なのに色気を更に増していき、大輪の華を咲かせていく藤純子様、このシリーズ後半に傑作がいる意味がわかり始めましたよ(^^)

追記 因みに前作のコメディリリーフ、チョビ髭の熊虎親分、若山富三郎さんも健在。前半のちょっとした出演なんだけど笑わせてくれますよ(^^)
滝和也

滝和也