封建的な藩の職務と大義の間で翻弄される、腕の立つ侍の悲劇。
非常に静かで、折り目正しい印象の映画。パリッと糊のきいたシャツを身にまとっているかのような、凛とした清々しさがある。
そうした良さがあるだけに、クライマックスの大立ち回りはあまりにも凄惨で、バランスを崩しているのではないか。
原作（藤沢周平）を読んでいる時は感じなかったのだが、実際に映像でグロいシーンを見せられるとちょっとしんどい。あまりにも主人公が哀れで、「もうやめてくれ～（かわいそすぎる）」と何度も思ってしまった。
もっとスマートにサラッと処理してくれていたら、観終わってからの後味もだいぶ違っていたと思う。過去にホラーも手掛けている平山秀幸監督、ちょっとそっちの方面に突っ走っちゃった印象。
