天

汚れなき悪戯の天のネタバレレビュー・内容・結末

汚れなき悪戯(1955年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

クリスマス🎄時期になると定期的に見返して魂の汚れを洗い流す映画。心の漂白剤。

村の祭礼の日に、病気で床に臥せる少女のために「この祭りの由来を知っているか。」と神父が話して聞かせる回想形式の物語。原題は「パンとワインのマルセリーノ🍞🍷」

子どもの頃、「子どものためのクリスマス曲集」的なレコードを買ってもらい毎年聴いていたのだが、「ジングルベル」「赤鼻のトナカイ」「サンタが街にやってくる」など明るく楽しい曲や「もみの木」「神の御子は今宵しも」といった優しく静かな讃美歌が収録されている中で、この映画の主題歌「マルセリーノの唄」だけが哀愁漂う悲しげなメロディで、当時は映画の内容も知らないのに聴くだけで泣きそうになるのが自分でも不思議だった。
大人になって、これはマルセリーノの一日を歌った内容だと分かってもやっぱり泣きそうになる。


〇時はスペイン独立戦争(1810年前後)頃の話。戦争で荒れ果て打ち捨てられた貴族の館を村人たちの協力で修道院として再建するが、ある日門前に生後間もない男の赤ちゃんが捨てられていた。この子が主人公マルセリーノ。めちゃくちゃ愛くるしい。演技なのか素なのか分からないほど自然な子どもらしい振る舞いをする。
○「清貧・禁欲・所有の放棄」等を旨としたフランシスコ会教義のため、修道士達も初めはマルセリーノの実親や捨てた人探しをするのだが、結局教会で育てることになりみんなが慈愛に満ちた笑顔で赤ちゃん👶のマルセリーノを見つめる。こっちまで笑顔になる。
○マルセリーノを抱っこしたトマス修道士(食事係であだ名はお粥さんor台所さん)の画が「パドヴァの聖アントニオ」そっくり。
○マルセリーノが起きないように鐘🔔の音を慌てて止めたり、大きな物音を立てないよう気を使ったりするのが微笑ましい(*´ω`*)
○12人全員で責任持って育児をする、と引き取って育てるにあたり決意表明。甘やかさず躾をし読み書きやお祈りを教える修道士達。うちの子らも預ければ良かった・・・ついでに旦那もry
○2階奥の物置にいる十字架のイエス像とマルセリーノの会話
マ「あなたのママは何をしてる?」
イ「与え続けることだよ。」
マ「何を?」
イ「すべてを。子供たちに生命と眼の輝きを与える。そして自分は老いるのだ」
マ「醜く?」
イ「母親は醜くならないのだ」

・・・・・・・!!
皆のもの聞くがよい!母親は醜くならないという神の有り難いお言葉である!サンキューイエス様!マジ神!
○マルセリーノは天国にいるという自分のママ(とイエス様のママ)に今すぐ会いたいと願い、汚れなき魂であったが故にその望みが叶えられてしまう。
他の11人の修道士達がその奇蹟に感動している中、ただ1人、赤ちゃんの頃から一番身近で世話をし愛情を注いできた"台所さん"だけはマルセリーノが亡くなったことを嘆き悲しんでいるように見えるのが切ない。


イエス様がパンを手に取ったり十字架から降りて椅子に座ったりというシーンを、CGも無い時代にすごく上手く且つ自然な感じで表現しています。
「お父さんは12人いる!けど、お母さんは1人もいない」と寂しそうに言うマルセリーノは、きっと天国でママに会えて幸せだったのでしょう。しかし、もし自分が彼の母親🤱だったら、彼がすくすくと成長し健康に生き、寿命が尽きる時まで必死に生きて欲しいと願うと思います。

レビューを書いていたらちょうどクリスマス🎄になったので、ざっくりあらすじも分かる「マルセリーノの唄」をどうぞ。


https://www.youtube.com/watch?v=jaEFj0iY_9Q
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