イペー

さすらいのガンマンのイペーのレビュー・感想・評価

さすらいのガンマン(1966年製作の映画)
3.5
白人に対する怒りを体現するヒーロー、ナバホジョーの活躍を描くマカロニ西部劇。

ダンカン兄弟は先住民の頭の皮を剥ぎ取り、それを売って金を稼ぐ悪党です。彼らの悪行からこの映画は始まります。
平和なナバホ族の村で乱暴狼藉を働くダンカン一味。極悪です。

ここでジョーが「てめえらの血は何色だーっ‼︎」とばかりに一族を殺された怒りに震えてくれれば、スンナリ復讐劇なんだな、と合点がいきます。
ところがジョー、あまり怒ってる風には見えない。むしろ一族の惨劇を目にしてる描写すら無い。唐突な登場です。

街の住民たちに、悪党一味から守ってくれとの依頼を受け、ジョーが出した条件。ひとつは金。そしてもうひとつが保安官のバッジ。先例の無い要求にざわつく住民に、彼が言い放つ言葉。
「先に住んでるのはボク!アメリカ人じゃないからって言うけど、ボクこそがアメリカ人じゃないか!バーカバーカ!」
(脚色し過ぎですが、実際はご覧になって確かめて下さい)

ジョーの動機が単純な個人の復讐に回収できないのは、彼こそ虐げられた先住民の魂が、形を成して現れた存在だからではないでしょうか。
一方で悪党ダンカン兄弟にも実は悪党になるだけの理由があったりもして、正義と悪の色分けに少しだけスパイスが効いてます。

マカロニならでは、セルジオ・コルブッチならでは。隠し味を加えた良作。万人受けはしなさそうですが、自分は堪能しました。

…いやー、それにしてもマカロニのヒロインは美人さんが多い。いつかあんな美人さんとイタリアンでも食べながら映画について語り合いたいものです。
自分、いい店知ってまして、サイゼリ…(以下、面白くないので自粛)
イペー

イペー