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トランシルヴァニアのkuuのレビュー・感想・評価

トランシルヴァニア(2006年製作の映画)
4.0
『トランシルヴァニア』
原題Transylvania
製作年2006年。上映時間102分。

突然、姿を消した恋人を見つけるために、ジンガリナ(アーシア・アルジェント)は彼の故郷トランシルヴァニアへと旅立つ。
恋人と再会を果たすものの、彼には愛情のかけらさえ残っていなかった。
妊娠していることも告げられず、悲嘆に暮れてあてもなくさすらう彼女の前に、謎めいた男チャンガロ(ビロル・ユーネル)が現れる。
(サイトより抜粋)

愛蘭土(アイルランド)の作家、ブラム・ストーカーによる小説
『ドラキュラ』
が誘発させよった予想外の影響って云やぁ、
ルーマニア地方の一つトランシルバニアをVAMP(吸血鬼)伝説の世界に変えよったことかな。
『嗚呼、悪魔とその子らが今も現世を徘徊する呪われた地』なんて、ストーカーは書いとる。
トランシルヴァニアがもつ本来の魅力は今作品で描かれてる牧歌的な中に情熱を秘める古きヨーロッパの雰囲気なんやろな。
でもトランシルヴァニアてのは、歴史的に強国の利害に翻弄されたルーマニア、ハンガリーの紛争地帯って一面もある。
現在も両者がそれぞれこの地方を分割している。
小生はこの地方を行ったことはありまへん。
せやけど、森や谷の独特で寂しげな、そして、厳しい風土を想像できる映像やった。
フランス女子から始まって、少しずつ将に泥臭く『ロマ』になりきり、地に根をはり、ほんで実が膨らんでいく中での、主人公の心理描写を深く演じるアーシア・アルジェントの演技力を思い出すだけで胸に熱いものが込み上げてくる。
西欧の洗練から隔絶された地に、母性本能の求めるままに導かれていく姿に、本来の人間の姿、それは放浪の民『ロマ』の生き様に、
監督は、
反・グローバリズム、
反・現代機械(コンピューター)文明、
てのを込めたんかもしれへんなぁ。

今作品はトランシルバニア地方特有の 謎めいた風習?
原始宗教みたいなもの?
(悪魔払いの儀式など)や、民族音楽&舞踊は、異邦人たる日本人から遠くはなれたかの地トランシルヴアニアへ誘ってくれる。

監督が作詞したちゅう曲が本作品のエンドロールで字幕が出るのの和訳歌詞をサイトで見っけたし抜粋したものを載せしときます。

     青々と茂り
    山が緑に覆われ
     俺のツキが
     定まらぬとき
     悲しみの刃が
俺の体をつらぬく
この世の中は
     偽善だらけ
     世界全体が
     俺の敵だ
    奴らが考えるのは
   盗っ人を葬ることだけ

   俺が人からもらえるのは
 イエスの手をつらぬいた釘だけ
     神よ許したまえ
     われらの罪を
kuu

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