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夕陽の群盗のtjZeroのレビュー・感想・評価

夕陽の群盗(1972年製作の映画)
3.8
1863年、アメリカ東部オハイオ州。
良家の少年ドリュー(バリー・ブラウン)は北軍への強制徴兵を逃れるため、中部ミズーリへと旅立ち、西への幌馬車を探すが見つからず、途方に暮れているところを、無頼の若者ジェイク(ジェフ・ブリッジス)に誘われて強盗団の一味となる…。

大人の強盗団のお話は珍しくないけど、本作の場合、6人のメンバー全員がティーンエイジャーというのが異色。
しかも根っからのワル、というのではなく、徴兵や親からの虐待や貧困から逃れるために身を寄せ合うようにして西部への旅を続ける…という『スタンド・バイ・ミー』テイストのウエスタンとして新鮮な味わい。

部活のようなワイワイとした楽しさと、大人の強盗団に襲われたり、飢えをしのぐため野生動物を狩ったりする過酷なサヴァイヴァルとが、93分とコンパクトにまとまっている。

『クレイマー、クレイマー』や『プレイス・イン・ザ・ハート』のロバート・ベントンの監督デビュー作。
この人は『俺たちに明日はない』の脚本を書いたりもしているから、ニューシネマ風味もたっぷり。
旅を経て成長し、たくましくふてぶてしくなっていくメインキャストのふたりが、そのまま『明日に向かって撃て!』のブッチとサンダンスになっていくんじゃないか…という面白さもある。

映像もすごくきれい。
『ゴッドファーザー』シリーズや、『アニー・ホール』『マンハッタン』『カイロの紫のバラ』などのウディ・アレン作品を手掛けたゴードン・ウィリスが撮影監督を担当。
彼独特の、ウィスキー色のフィルターが掛かったというか、琥珀色の、全体を煙でいぶしたようなノスタルジックな映像。
そこに、ピアノのみのシンプルな伴奏が乗っかって、不思議な味わいの、ジュヴナイル風味に燻製された、忘れがたい西部劇の佳作に仕上がった。
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