しおえもんGoGo

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

5.0
久々に見たけどやっぱり感無量。

3部作を通して、原作ファンからすると「良くまとめたな」と思うけど、原作知らない人から見たら分かりづらい部分は多々あっただろう。
あの人をもっと深堀して欲しいとか、あのシーンが欲しかったとか色々言いたいのだが、仕方がない事だ。

以下ネタバレあります。


今作では特にサムの頑張りと忠誠心が際立っていて、フロドにイライラするかもしれない。多分ここが原作勢と映画のみの人の大きな認識の違いなのかなとも思う。
原作ではフロドはもっとしっかりしてるし、繰り返し繰り返し指輪が持ち主にもたらす影響力が描かれており、もはやあれを抱えて意志を持って前に進んでいるだけでもすごい事なのだ。またフロドの事を周囲の人達が何度も名前ではなく「指輪所持者」と呼んでいる。短時間指輪を預かっただけのサムでさえも指輪所持者と呼ばれ、最後は西の海を渡らせてもらった。「指輪を所持する」という事がいかに特別で重い事なのかが伝わってくる。
原作を読んでる身としては、フロドがサムを疑う事も、最後の最後に指輪の誘惑に屈することも、フロドが壊されていくのを見守る思いでいるし、イライジャ・ウッドがひたすら消耗しながらも、それでも前に進もうとする姿に胸が痛むのだ。

またフロドがゴラムを殺さなかった事、映画では描かれていないがサムも滅びの山でゴラムを殺さずに見逃すことが、結果として指輪を葬ることにつながり、確か第一作でゴラムを殺せばいいのにと言ったフロドに対してガンダルフが言ったゴラムにも役割があるという言葉を回収する。

一方アラゴルン達サイドではミナスティリスの美しさや、絶望的な戦いが大迫力で描かれる。そんな中でこの作品の大きなテーマである「小さい者達の勇気」には胸が熱くなる。
特に最後の黒門の戦いでアラゴルンに続いて真っ先に走り出したのがホビット二人で、そのあとすぐに人間に追い抜かれるところも含めて目頭が熱くなる。
だって彼ら四人は元々こんな旅に出る必要は無かったのだから。他の人達と違ってそれぞれの国を背負っていたわけでも無く、ノブレス・オブリージュも無く、裂け谷に着いた時点でお役御免だったはずなのに、偉大な人間やエルフが尻込みするミッションに自主的に名乗りを上げ、残り3人はフロドが心配だから着いてきただけなのに。そんな彼らの勇気が他の人間やエルフ達を突き動かすさまは胸熱。

若干詰め込み過ぎだったり(これ以上はどうしようもないと思うけど)、グロールフィンデル様を消したり、人物の描写でもうちょっとこうして欲しいという部分もあるものの、三部作通じて本当に素晴らしい作品だと思う。
出来れば原作を読んでから見て欲しい。

その他
・ファラミアの父親に認められない悲しみが強調されるので、犬系の顔と相まって母性本能をくすぐる。ちなみにファラミアは私の推しNo3。ビジュアルも完璧。
・メリーが相変わらず要らん事しいだけど、彼は原作では4人の中でとびぬけて若い。4人の中で最年長だったフロドがかなり若返ってメリーの方が年上に見えるけど、彼はまだまだやんちゃな年頃なのだ。
・でもフロドにイライジャ・ウッドのキャスティングは素晴らし過ぎる。美少年のようなイライジャが消耗していく姿は、何か不健康な美のようなものがあって悲惨さが増すし、ゴラムのビジュアルは彼の大きな目と被せてあるのかな?一歩間違えるとフロドもああなってしまう部分も表現出来ていると思う。
・全体的に時系列と距離感が分かりづらい所はもう少し工夫して欲しかった。
・多分見てる全員が第一作から思ってただろうけど今作特に感じた。「ガンダルフ、魔法使って」せめて花火でもいいから…
・士気を鼓舞する演説ってテンション上がるよね
・デネソールの残念さよ…。もうちょっと何とかしてあげて…。
・ミナスティリスの戦いは原作ではサウロンの力によってずっと明けない夜で、いよいよ絶望的な状況の中で鶏が朝の到来を告げて朝日と同時にローハンの援軍が来る、というシーンがめっちゃ好きだった。ローハン軍が朝焼けバックに出てくるシーンに再現されていて良かったが鶏は鳴かせて欲しかった。
・レゴラス一人だけゲームの世界
・ミナスティリスの門を破る槌のビジュアルがめちゃくちゃカッコいい。向こうの陣営のセンスが光る
・全て終わってフロドが目を覚ました後、サムがめっちゃいい男風に部屋に入ってきたのに爆笑してしまった。彼氏か。
・戴冠式のリブタイラーを見てやっぱりアルウェンは彼女ではないと確信
・アラゴルンは何故か正装した方がイケメン度が下がる。それに対してドレスアップしたレゴラスの王子様オーラがすごい。
・戴冠式で急に歌い出す王様。周囲はどう反応するのか。
・誰かホビット達に戴冠式用にもうちょっとキレイ目な服を作ってあげてくれないか。
・フロドが旅立つところで終わるのもいいけど、やっぱり他の人達のその後もちょっとでいいから触れて欲しかった。サムも西へ旅立ったこと、レゴラスとギムリが終生の友ととして一緒に過ごして一緒に西へ向かった事は言って欲しい。
・原作の時から北欧神話をベースにしているせいで白人が善、有色人種が悪っぽくなっているのには気づいていたけど、やっぱり文章と映像では見え方が全然違うし、改めて見たらかなりアフリカ、中東、アジアをイメージさせるビジュアルになっているので今の時代ではかなりリスキーになっただろう。「力の指輪」で有色人種のエルフが話題になっていたけど、そういう話になるのは当然だと思う。
しおえもんGoGo

しおえもんGoGo