滝和也

ボーン・アルティメイタムの滝和也のレビュー・感想・評価

ボーン・アルティメイタム(2007年製作の映画)
3.9
逃亡に次ぐ逃亡
追跡に次ぐ追跡

トレッドストーンの謎
そして自らの記憶を求めて
ボーンの戦いは続く…。

「ボーン・アルティメイタム」

CIAの追跡は続く。ロシアを脱出したボーンはマリーの兄と接触、謝罪をした後、トレッドストーン計画を新聞で暴露したガーディアン紙の記者へ接触を試みる。だがCIAも記者への追跡を開始していた…。

ボーンシリーズ3部作の完結編。トレッドストーン計画、そしてブラックプライアーとは何か、ボーンの記憶とは…を追いながら壮絶な追いつ追われるアクションを展開します。

ストーリーに悲哀、哀愁を帯びた展開となった前作に比べ、徹底して逃亡者と追跡者によるサスペンス性を更に高め、全体に張り詰めた緊迫感が素晴らしい。

スパイの内幕モノとして、派手になり過ぎないリアリティとここぞという時に炸裂するアクションの緩急がまた巧みです。

やはりスピーディーかつ細かなカット割とカットバックによるいくつもの視点を重ねて、緊迫感を高める手法が素晴らしい。雑踏の中、追跡対象の記者、CIAの現場追跡者、監視する本部、そして暗殺用スナイパー、記者を助けるボーンといくつもの視点を繋ぎ合わせ、異常なまでの緊迫感を高めた前半にまずは感心、だってこれ、追跡対象は雑踏を歩いているだけですからね。それだけなのに、他者のいくつもの動きを絡め、なんと緊迫感のあるシーンになることか。見事な頭脳戦でしたし、スパイモノの醍醐味を見せてくれました(^^)

中盤のタンジールも同様に見事な編集からここぞでくる、爆破やバイクアクション、リアリティある格闘シーンがまた見事です。手持ちカメラでリアリティを更に高めてますし。

ラストNY決戦はお待ちかね、このシリーズのアクションと言ったらカースタントですね。今回はパトカーですか。まぁ派手に逝きますわ…。何故無事なんだかボーンは(笑)あまりのスピーディーなカット割とアングル、編集に体感する恐怖をまたも感じさせてくれました…。またラストの屋上での対決も絡んで…セリフも良かったですよね。

前作に引き続き、パメラとニッキーが登場。前作で好きだったパメラとのユーモアがあるシーンがここに繋がるとは(^^)粋な演出がありますね。またベルリンから何故かマドリッドへ異動になって、また出会うニッキーの不運さ(笑) 彼女、ボーンと1回くらい何かあったんじゃないかな…と思わせてくれますよね。またマリーを思わせるあのシーンも素敵(T_T)でした。

手持ちカメラ、スピーディーなカット割と巧みな編集、深作欣二を思わせるその見事な映画としての技術が素晴らしい。そしてボーンを演じるマット・デイモンのアクション、クールさが見事なシリーズでした(^^) 
滝和也

滝和也