KouheiNakamura

ファイト・クラブのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
5.0
Where is my mind?


極私的フィンチャー祭り第三弾。
デヴィッド・フィンチャー監督最大の問題作にして大傑作。タイラー・ダーデン、映画史に残るこの強烈なキャラクターを演じるのはブラッド・ピット。そして主役のエドワード・ノートン、破滅的な女マーラ・シンガーを演じたヘレナ・ボナム・カーターらの怪演も見所の一つ。

ジャンル分け不能なこの映画のあらすじを語ることほど不毛なことはない。とにかく映画が始まったら最後、息つく間もなくあっという間にエンディングになってしまう。予測不能かつ緻密なストーリー構成の素晴らしきに酔い、革命的な映像・音楽に五感を刺激され、役者陣の加速する演技テンションに巻き込まれれば139分の上映時間はあっという間だ。
おまけにこの映画、高校時代に初めて観た時には気づかなかったがラストにかなりグッときて何故だか泣けてしまった。二度、三度見ても色褪せることのない、驚きと発見に満ちた作品でもある。

公開当時は「暴力的だ。」と批判され興行的にもパッとしなかったが、それも少しわかる気がする。表面的にこの映画を観てしまうと、扇情的で暴力的な作品に見えてしまうかもしれない。しかし、それこそがこの作品の狙いだ。この映画で描かれる暴力は他者に向けられたものではなく、自己に向けられたものだ。自己破壊。そして、物質主義への警鐘。ファイトクラブは何を意味するのか?
何度見ても考えさせられるメッセージを、フィンチャー監督は巧妙に映画の中に仕込んでいる。そう、まるでサブリミナルのように。

ブラピの恐ろしいほどの格好良さやノートンの凄すぎる演技など、まだまだ語りつくせない大傑作。事あるごとに見返したい作品だ。超オススメです。
KouheiNakamura

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