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デジモンアドベンチャー02 前編 デジモンハリケーン上陸!!/後編 超絶進化!!黄金のデジメンタルのtubameのレビュー・感想・評価

3.0
本作のキャラクターたちが大人になった新作映画公開に合わせてYouTubeで配信されたので鑑賞。
一度鑑賞済みだが、時間が経ちすぎてほとんど何も覚えておらず、新鮮な気持ちで観た。


本作は「デジモンアドベンチャー02」本編放送中に公開された劇場版で、大輔たちがアメリカで自分たちと同じ選ばれし子供のウォレスと彼のパートナーデジモン・グミモンと出会い、一緒に旅をしながら訳ありのデジモンに迫っていくという物語。
何かもうびっくりするほどシリアスで重たい内容だった。元々デジモンシリーズは子供向けアニメとは思えない重いテーマを内包していて深い作品ではあるのだが、それにしてもこれを夏休み映画として制作したのは相当攻めていると言わざるを得ない。

ウォレスの心情に寄り添った静かなシーンが長く、チョコモンのシーンは暗く不安感を煽るような不気味な描写。
演出面を観てもカットの繋ぎ方も独特だし、ちょっと実験映画ぽいというか...。

ウリのはずのブイモンとグミモンの映画限定フォームは大して活躍しないし、初出のエンジェモンとエンジェウーモンの究極体もろくに姿を見せないまま一瞬でフェードアウト。
せいぜいグミモンがマスコット的で可愛いくらいで、分かりやすい派手な場面がまあほとんどない。
そういえばタケルとヒカル激推しの民だった自分からすると、二人の出番が少ないのも前観た時結構不満だったな、というのも突然思い出したり。


自分が現代のスピーディーな展開のアニメに慣れてしまった影響も少なからずあるだろうが、ウォレスの鬱々とした心情描写の尺がどうしても長すぎる印象がある(長尺のわりにはそれほど内面に踏み込まず表面的な感じなのも気になる)ので、ここをもう少し詰めてデジモンの活躍パートに振り分けた方が全体のバランスが良かったような気がするんだよなあ。


説明が少なくてかなり想像の余地を残しているのとか、いいなと思うところもあるんだけど単純に面白かったかと言われるとあんまり...というのが偽らざる気持ち。ただ挑戦的な作品であることは間違いないし、子供の感受性の豊かさを信頼したような妥協しない作品作りには好感を持った。デジモンという枠で公開したことは意義のある作品だったと思う。
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